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『 下北沢を "演劇の街" にした男の、人生の回り道 』
同じく俳優の、故 林隆三氏は、
ピアノの腕前もプロ級で、
生前─、
「 俳優だからこそ弾けるピアノがある 」
と述べておられた。
であるならば─、
私の本職は、ソフトウェアのエンジニアだが、
エンジニアだからこそ出来る音楽もあるだろう。
そう言えば─、
私が、かつてピアノのレッスンを受けていた時のこと。
どういう話の流れからか、
私がソフト開発の仕事をしていると話すと、
先生が急に興味を示して、私にあれこれと尋ねてこられた。
聞くところによれば、先生も最近、
パソコンで楽曲データの制作を始められたそうなのだが、
先生は、どちらかと言うと、
ピアノ一筋で生きて来られたアナログ人間で、
パソコンのことは、分からないことだらけだと言う。
そこで私が気軽に、質問にこたえて差し上げると、
知識の泉を得たりと言わんばかりに、
質問攻めにあってしまった。
我々、専門のエンジニアからすれば、
知っていて当然の初級レベルの知識が、
専門外の人間からすれば、
貴重な情報であるということは、よくあることだ。
そして─、
100冊の解説書を読んでも、
分からなかったことが、
一人の詳しい人に聞くと、
30秒で解決してしまった、
ということも、またよくあることである。
教師と生徒の立場は、完全に逆転していた。
そして─、
自分が持つ知識が、誰かの悩みを、
たちどころに解決していくという体験は、
自分が価値ある存在であることを気付かせてくれる、
大変、心地よい機会でもある。
( 次回へつづく... )
『 藤子不二雄が手塚治虫を超えるためにとった戦略も、やはりコレだった!』