私も大学を卒業し、社会人となって、
かれこれ十年以上になるが、
これまで、ソフトウェア業界の開発現場で、
エンジニアとして仕事をする中で、
次のようなことを主張する人間に、
しばしば、出くわしてきた。
「 ニーズが大事である。」
一見、至極ごもっともなことのように思える。
私も、社会人になってしばらくは、
そう信じて取り組んできた。
しかし─、
そのうち、その考え方に、
違和感を感じるようになった。
その主な理由というのは─、
ニーズを重視することは、決して、
ニーズのこと "しか" 考えないことではない。
ということである。
ビル・ゲイツも、スティーブ・ジョブズも、
決して、技術を疎かにして、
あれだけのことを、成し得たわけではない。
確固とした技術を修めた者が、
それをビジネスとして展開していくことを、
真剣に考えた結果であり、
決して─、
技術以上に、ニーズが大事であるわけでもなければ、
ニーズだけが大事で、技術のことは二の次、
というわけでもない。
ところが、世間では往々にして─、
技術の「 ぎ 」の字も知らなければ、
開発の「 か 」の字も知らない者が、
そういう者に限って、ことさら声を大にして、
ニーズの重要性 "だけ" を主張する。
そして、ともすれば─、
「 大事なのは技術ではないのだ。」
ということを、暗に主張しようとするのだ。
そして─、
技術や開発のことは、技術者の仕事であり、
自分たちの知るところではない…、
というわけだ。
少なくとも、私の周囲では、そうだった。
しかし─、
それでは、物事の一面しか分かってない、
ということになる。
ユーザーのニーズに耳を傾ける理由というのは…、
( 次回へつづく... )
『 誤解してない?ニーズに耳を傾ける理由 』