何事においても、
偶発ミスというのは、起こり得る。
こればかりは、もう仕方がない。
経験値を上げて、失敗率を下げるほかない。
偶然に起こることを予測するとき、
人間はだいたい三通りの思考方法をとるようです。
賽でたとえると、最初に一の目が出たら、
次にも一の目が出るぞと考えるのが一つ。
本物の賭博師などに
こうした思考をする人がいるようです。
二度あることは三度あるというたとえがありますが、
これと同じ考え方ですね。
二番目は最初出た目の数のことは
全く無視する考えです。
この人たちの考え方は大変知性的でして、
人情に左右されない。
今まで起こったことは、今まで起こったこと、
これから先は、これから先という考えで~ ( 省略 )
最後は残った三番目の人たちの考え方ですが~ ( 省略 )
このグループの人たちは、
最初に一の目が出てしまったのだから、
二度目にはもう一の目は出やしないと考えます。
今日は雨がうんと降っているから、
明日は降るまいと考える人
『 DL2号機事件 』( 泡坂妻夫 ) より
2012 年の大みそかのことだが─、
家族で外出した際、
0歳の娘のガラス製の哺乳瓶を、
うっかり落としてしまい、割ってしまった。
その際、うかつにも割れたガラスで、
指先を一か所、切ってしまったのだ。
幸い、傷はさして深くはなかったが─、
ガラスで切るというのは、
思いのほかヒヤリとするもので…
「 まったく大みそかに、とんだ災難だ!」
と、一瞬、心の内で罵声を吐いたが─、
次の瞬間、私は、こうも考えていた。
「 厄除けができた 」と。
つまり、私は上の例で言うなら、
三番目のグループに属する人間なのだ。