第50話 |
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甘川老人は見学者と対話式で行っている最中に |
ある人物に目が止まった |
「そこの中年の男性はチョット出て来なさい」 |
指名された中年の男性はなんと軍曹だった |
甘川老人は中年男性を軍隊経験者である事を直感で当てた |
そして自分を敵だと思って背後から襲って欲しいと頼んだ |
軍曹は戦闘術を使って良いかと尋ねるとOKが出た |
甘川老人は軍曹に背中を向けて立つと |
「自分の間合いで掛かって来なさい」と言った |
軍曹は瞬発力を生かして襲い掛かったが次の瞬間 |
足は天井を向き、そのまま畳の上に投げ飛ばされた |
「once again」と叫び再度チャレンジしたが結果は同じだった |
道場オープンセレモニーも閉式時間になり無事に終了を迎えた |
軍曹はモヤモヤ感が拭い切れずに甘川老人を尋ねるため |
スタッフに案内されて控室に入ると数人の指導員とステラが居た |
ステラは反射的に軍曹へその場で直立不動になり敬礼した |
それを見た軍曹は国防総省で息子のジョンと一緒に居た |
女性警護であった事を思い出した |
軍曹はモヤモヤした件を話しすると甘川老人は笑いながら |
ステラにモヤモヤする実感を説明させた |
「要するに軍曹は相手は老人だから押さえ込めばと考えて襲い掛かった |
おじいちゃん先生は軍曹の力を利用してチョット技を掛けただけです」 |
甘川老人は合気道未経験者に対して適切な説明に手をポンと叩き |
「その通りだ、ステラありがとう」 |
軍曹は西側国で馴染みの低い合気道とステラの関係を尋ねると |
「ステラは高校生の時に語学留学で日本に来た、ホームステイ先が |
ワシの自宅だった、特別に課外授業の一環で合気道を通して |
このステラに日本語を教えたおじいちゃんテイチャーじゃよ」 |
と笑って説明した |
ステラは日本の語学留学中に風邪を引いた時におじいちゃん先生が |
日本の『生姜粥』を直接作ってくれて早く回復した当時の想い出を |
懐かしそうに話し、甘川老人は西洋人でも効果が有って |
甘川老人の家族は喜んでいたと付け加えた |
後日軍曹は自宅で教官後継者育成資料を作成していた |
その中には、兵隊員は戦闘術と合気道を組み込んだ内容 |
キャリア層には合気道にて護身術の習得を組み込んだ内容 |
軍曹が作成した資料には新規項目が追加されていて |
国防総省を通して大統領にも目を通す様にと提出された |
大統領官邸で軍曹から提出された資料に目を通した大統領は |
「合気道?聞いた事は有るが、何でまた?」 |
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つづく |