私の知り合いに、オリンピック専用車両のドライバーをしているイギリス人がいるのですが、
先週、久しぶりに会ったところ、かなりお疲れ気味。

どうしたのか聞いたところ、
「ドライバーの仕事がつらい」
とのこと。

彼は日本語を話せるので、日本人のドライバーをしているらしいのですが、
彼らの不平不満がつらいとのこと。

彼自身に言われているわけではないらしいのですが、

「サイクリングなどの競技で通行止めで移動に時間がかかる!」
「会場間の距離が長い!」
「寒い!」

など、とにかくたくさんとのこと。
ロンドンオリンピックとはいえ、多くの競技はロンドンではない地方都市で行われています。
一部の競技は公道を使用しています。

それは事前にわかっていたことだと思いますが、それを一日中聞かされるのはとてもつらいとのこと。
ましてや寒いのは当然!ここは北部ヨーロッパです。
夏でも朝晩は冷え込むし、昼間も曇っているときは長袖が必要です。
そういった情報も日本で手に入るはず。

ドライバーの彼は、
「彼らは仕事だから、ロンドンに来たくて来たわけではないことはわかっている。
でも、移動のことや、気候のこと、それはもう仕方がないこと。どうか受け入れてほしい。」
と落ち込みながら言っていました。

「日本が大好きだから、この仕事が決まった時はすごくうれしかったけど、今は早く終わらないかな、と思っている。」
とも。

ここはロンドン、日本ではありません。
日本では当たり前にできていたことができないなんて、ふつうのことです。
むしろ、日本で、当たり前のことの大部分が、ほかの国では当たり前ではないと思います。

自分が生まれ育った都市に対して、一日中不満を言われる。
これはとてもつらいことだと思います。
もし、私が生まれ育った東京について、
「人が多すぎる!」
「暑い!」
「電車複雑すぎ!」
とか一日中言われたら、きっとつらいだろうなあ、と思います。

ドライバーの彼は、日本語OKですが、日本人のようにすらすら話したり、微妙な言い回しを即座に理解するわけではありません。
おそらく彼が担当している日本人の方々は、彼の日本語がつたないから、日本語がわからないと思っていろいろ言っているのではないか、と言っていました。

旅行でも、仕事でも、外国に行ったら「〇〇さん」個人であると同時に、「日本人」という肩書きがついて回ります。

英語圏だからと言って、日本語がわからない人ばかり、というわけではないし、だれがどこで私たちの振る舞いを見ているかわかりません。

日本で、誰かがマナー違反をしていたら、
「あの人、マナー悪いね。」
で終わりますが、海外では、
「日本人ってあんなにマナー悪いんだ。」
と思われます。


雨が多くて、寒くて、気分が塞いでしまうのもわかるけれど、もう変えられないことは受け入れる姿勢、そして、個人ではなく、「日本人」として自分が見られているという自覚を持ちたいものです。

「今回担当している日本人の態度は悲しいけれど、自分の周りの日本人は大好き。」
と言っていたドライバーの彼。
こういった人たちが受け入れてくれているからこそ、日本人が国際社会に出ていけている、ということも忘れずにいたいと思います。