SERS研修会 | ネパールの手帖

ネパールの手帖

平成22年6月から2年間、ネパールでソーシャルワーカーをしてきました。「ネパール日和」から「東京日和」へ。東京の空の下、ネパールで感じたことを思い出して記していきます。

JICAとKoica(韓国版JICA)合同の研修会も、今回で4回目。チームワークもますます良くなり、更にお互いを注意しあえる仲になったことは非常に我々の成長にも繋がる研修会でした。

今回よりチーム名新たに!
SERS(Special Education Related Service)
お揃いでTシャツも作り、気合十分!

ネパール人:2名
韓国人:養護教諭3名
日本人:理学療法士2名、作業療法士1名、村落開発普及員2名、ソーシャルワーカー1名
合計:11名の大所帯!

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昨年度からKoica、JICA共同でダラン、ブトワルへの学校向け研修会2回、バグルンでの教員向け研修会と、3回の共同開催を行ってきました。

ほとんどの隊員がカトマンズ盆地配属で、個々の配属先からもカトマンズ盆地での研修会の要望が上っていました。カトマンズ盆地には多くの特別支援学級があり、隊員も多く派遣されている。しかしながら、まだまだ特別支援教育は確立されたとは言えず、支援が必要な分野であります!

地方と違い多くの支援の入っている地域での研修会は研修慣れや、首都ゆえの各々プライドを持って指導にあたっている教員に対しての研修会ということで、内容を再構築し準備にかなりの時間を要しました。


内容は・・・・(報告書より隊員の皆さんすみません得意げ

●1日目
【Class1:Singing Songs】
「なぜ歌をうたうのか?(歌うことで得られる効果)」「歌を子どもに伝えるときの方法・配慮事項」「楽器遊び(廃材を利用した楽器作り)」の紹介。歌から学ぶことのできる事柄を、歌い進めながら紹介「どのように展開させることが出来るか?」「どんな物を作ったり使ったり、創意工夫することで、傷害のある子どもも楽しむことが出来るか?」「歌ううえで大切にして欲しいポイント」
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【Class2:Self Help Group】
セルフグループの意義、また、知的がい者の社会参加とそのためのサポートの在り方を、実例などを挙げながら、障がい者の活動とそのサポートの在り方を紹介。それぞれの学校、支援施設において成人期への教育支援の参考となることを期待しつつ!

【Class3:PBS(Positive Behabioral Support)】
「問題行動」についての、講義と演習。ABC(A:antecedent B:Behavior C:consequence)サイクルについての理解。「問題行動」が起こる背景、また本人が置かれている環境の把握と理解に重点を置く。隊員によるデモンストレーション(教師役、生徒役)を交えながら、一通りの講義を終えた後で、シートを使っての演習。「問題行動」についての教師の発言には、その対応レヴェルと意識に差が見られたが、「問題行動」に対する基礎と重点事項の確認。


●2日目
【Class4:special Education DVD/Class Schedule】
ここを私が担当!
事前にネパールの養護学校に出向き撮影した日中プログラムの様子を参加者に見てもらう。自分の施設の良いところに気づいてもらい、一校ずつ、良いプログラムをピックアップし、研修参加者に発表してもらった。その後、特別支援教育において、スケジュール管理がいかに重要であるかを説明し、今後の日中プログラム、週間プログラム作成におけるポイントを伝えた。

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【Class5:Storytelling and making educational materials】
絵本を読み聞かせすることの大切さ、そこから子どもたちは何を学ぶことが出来るか?何を伝えることが出来るか?読み聞かせする時の演じ方や配慮事項、読み聞かせ実演、展開の仕方。グループディスカッション。
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【Class6:The Right Etiquette for people with special needs】
前回のバグルン研修会で行った内容(聴覚障害、視覚障害、身体障害の体験、他国での障害者を取り巻く環境設備の紹介)に加え、知的障害者とはどのような感覚を持っているかの体験してもらうプログラムを追加した。迷路を鏡に映し、鏡のみを見ながら進めるというもので、なぜひとつひとつの行動に時間がかかるのかを体験してもらった。これが、目からウロコ!!わかりやすい!
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【Class7:Simple Physical therapy】
 まず、障害児に理学療法を行うときに大切なことをつたえ、理学療法をなぜ行う必要があるのか、状態を知ることの大切さ、こどもとの理学療法では楽しく行うことや活動提示等の工夫を行いながらこどもが理学療法を主体的に取り組めるような環境をつくること。 

 評価のポイント(彼が自分でできること・彼が好きなこと・家族のニードを知ること・問題点の把握...
 主指導の理学療法士は療育センターでのPT経験を持つプロ!毎回本当に勉強になります!PTもOTも全ては本人を中心に考えること。同じなんだよな。と考えさせられます。
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●3日目
【Class8:Science Class】
合同研修会では初めての試みとなるScienceのクラス。机で勉強することではないモデル授業の紹介。塩やマサラを使い、味覚・嗅覚・視覚で何を感じるか、外の草花を使って絵を描く指導法などを伝えた。
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【Class9:Vocational training】
今回2コマ目の私の担当クラス!
ずっとやりたかった就労支援のクラス。皆興味がある就労支援を、作業療法+お金の面から伝えました!
作業療法士の隊員さんに作業法の観点から話してもらい、実際にビーズを使ったトレーニングを体験してもらいました。その後、ソーシャルワーカーとして、金銭管理、家族の希望、本人の喜びについて話し、日本の職場でのケースを例に挙げて進めました。

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【Class10:Individualized Education Program】
個別の教育計画を立てる目的の説明とともに、特別支援教育での「教育」とは、更衣や食事等々の日常生活動作も含めたものであることを説明。今回のカトマンズ盆地内の特別支援学校では、すでに個別の教育計画を立てていることが多いこともあり、一日目に実施した行動に問題のある子どもに対する評価と対応について示したPBSと関連させながら、各学校に実際にいる生徒の個別計画を作る実習を行った。評価フォームが英語であったため理解が難しい受講生もいたが、詳しく説明を加えながら実施し、一人ひとりの受講生が個別教育計画を作り、PBSの評価の方法について経験することができた。


2カ月後を目途に参加者の配属校へのモニタリングも計画して、研修会受けっぱないしにならないようにしなやー!

今までの地方開催とは違い、多くの知識経験のある先生に対してだったため、いつも以上に緊張の3日間だった~。