親が薦めてきたのと、友人も読んでなかなかよかったと聞いたので読んでみた。今、かなり売れている本みたいなので、天邪鬼な自分としては読むのに抵抗があった。
180ページ弱で文字も大きいので90分ほどで読了。
本書のタイトルの通りに、この本は「悩む力」の重要性を説いている。書いてある内容については自分の考えと近いものがあり納得のいくものだったが、正直、納得はしても、それ以上の「発見」はないというのが感想である。平易な文章で書いてあるので、言いたいことがわかりやすいのはいいのだが、ちょっと内容が薄いと思う。悪く言えば、大衆受け狙いしすぎた感がある。もう少し内容を掘り下げてみてもよかったのではないか?カンさんの著作はこれしか読んだことがないので他の本で補完されているのだろうか?そういう本を書いているならぜひ読んでみたい。
この本は一つの矛盾を抱えているのも事実だろう。それはこの本の主題「悩む力」についてだ。「悩む力」が重要だと本書ではさんざん言っているが、本書のような「手軽」な人生指南書を読みこと自体が悩む力を衰退させることになる。
確かに本は読んでもらわなくて存在していないのと同義である。だからと言って大衆に迎合するようなことはしてもらいたくない。もっと骨太な本を書いてもらいたい。
三島由紀夫は良い文学についてこう定義している。
世にも美しい文章や、心をとろかすような魅惑に満ちた描写を通じて、この人生には何もなく人間性の底には救いがたい悪がひそんでいることを教えてくれるのです。そして、文学はよいものであればあるほど人間は救われないということを丹念にしつこく教えてくれるのである。そして、もしその中に人生の目標を求めようとすれば、もう一つ先には宗教があるに違いないのに、その宗教の領域まで橋渡しをしてくれないで、一番おそろしい崖っぷちへ連れていってくれて、そこで置き去りにしてくれるのが、「よい文学」である。
自分はカンさんの考え方にかなり共感できるので、別の本も読んでみようと思う。そんな意味では、この本は姜尚中入門書としてはいいのかもしれない。
180ページ弱で文字も大きいので90分ほどで読了。
本書のタイトルの通りに、この本は「悩む力」の重要性を説いている。書いてある内容については自分の考えと近いものがあり納得のいくものだったが、正直、納得はしても、それ以上の「発見」はないというのが感想である。平易な文章で書いてあるので、言いたいことがわかりやすいのはいいのだが、ちょっと内容が薄いと思う。悪く言えば、大衆受け狙いしすぎた感がある。もう少し内容を掘り下げてみてもよかったのではないか?カンさんの著作はこれしか読んだことがないので他の本で補完されているのだろうか?そういう本を書いているならぜひ読んでみたい。
この本は一つの矛盾を抱えているのも事実だろう。それはこの本の主題「悩む力」についてだ。「悩む力」が重要だと本書ではさんざん言っているが、本書のような「手軽」な人生指南書を読みこと自体が悩む力を衰退させることになる。
確かに本は読んでもらわなくて存在していないのと同義である。だからと言って大衆に迎合するようなことはしてもらいたくない。もっと骨太な本を書いてもらいたい。
三島由紀夫は良い文学についてこう定義している。
世にも美しい文章や、心をとろかすような魅惑に満ちた描写を通じて、この人生には何もなく人間性の底には救いがたい悪がひそんでいることを教えてくれるのです。そして、文学はよいものであればあるほど人間は救われないということを丹念にしつこく教えてくれるのである。そして、もしその中に人生の目標を求めようとすれば、もう一つ先には宗教があるに違いないのに、その宗教の領域まで橋渡しをしてくれないで、一番おそろしい崖っぷちへ連れていってくれて、そこで置き去りにしてくれるのが、「よい文学」である。
自分はカンさんの考え方にかなり共感できるので、別の本も読んでみようと思う。そんな意味では、この本は姜尚中入門書としてはいいのかもしれない。
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