4月に結成した群馬発のご当地アイドルグループ「AKG」の動きが活発化している。17日に2枚目のCD「Cia☆おっ」を発売。年末にかけて県内各地のイベントにひっぱりだこだ。AKGに在籍する約100人のメンバーのうち、ステージ中央に立つ「チームG」(11人)に密着、人気の秘密を探った。(三品貴志)
CD発売イベントを翌日に控えた16日夜。高崎市内のダンススタジオを訪れると、真剣な表情でレッスンに励むメンバーの姿が目に飛び込んできた。「もっと手を回して」「移動が遅い」-。女性振付師の厳しい言葉に、メンバーは厳しい表情で動きを確認していた。
AKGでは競争意識を持たせるため、中心メンバーを随時、入れ替える。チームGでは元キャプテンを含む数人がすでに脱退や交代を繰り返し、“新陳代謝”が進んでいる。
10月にチームGに加入したばかりの高崎市の中学3年、森本悠楠さん(15)は「ダンスについていくのが大変。明日は間違えないように頑張ります」と額の汗を拭った。
AKGではほぼ毎日ダンスレッスンを実施。県内各地に住むメンバーがその都度、高崎市のスタジオに足を運ぶ。伊勢崎市の高校2年、礒干(いそひ)彩香さん(17)は「自転車と電車とバスを乗り継いで通っています。大変だけど、仕事でいろんな場所へ行けるのは楽しい」と笑顔で話した。
続く17日のイベントは、前橋市の「けやきウォーク」が会場。本番前の楽屋では、新曲の振り付けを黙々と確認したり、手鏡で髪や化粧をチェックしたりするメンバーの姿が目立った。
キャプテンを務める安中市の大学3年、若松文香さん(21)は「イベント前は毎回、『どんな人が来るんだろう』と思ってドキドキします」と緊張した様子だった。
会場には、買い物客のほか、メンバーの名前が入ったうちわや衣装を来た熱心なファンが参集。AKG人気が定着していることを印象づけた。
AKGが登場すると、すぐにステージ横で、かけ声とともに激しく体を振りながら手拍子を繰り返す男性ファンが出現。新曲が披露されると、会場の熱気は最高潮に達した。終了後は、メンバー一人一人がCDなどを買い求めるファンと談笑し、交流を図った。
そんな様子を眺めていた前橋市の高校2年の女子生徒(17)は「アイドルなのにファンとの距離がとても近い。群馬をもっと盛り上げてほしい」と活躍に期待していた。アイドルに会って気軽に話せる身近さが、AKGの人気につながっているようだ。
取材中に気になったのは、彼女たちの進路だ。ステージ中央に立つ「センター」のポジションを務める安中市の高校2年、矢端(やばた)名結(みゆ)さん(18)は「勉強とアイドルの両立は大変だけど、大学には行きたい。アイドル活動をPRできる自己推薦受験を狙っています」と明かす。
一方、前橋市の大学3年、本田愛さん(21)は、AKGスポンサーの県内企業から就職の誘いがあることを教えてくれた。さらに、「働きながらアイドルを続けたい」とも。アイドルの活躍をきっかけに、地域活性化に向けたさまざまな“輪”が広がっている。