外来をしていてそこそこよくあるのが、


点滴希望


という受診理由です。

 

聞いてみると、

水分はたっぷり取れているけどごはんを食べてないから心配、とか

朝から何回も嘔吐してるので、とかとか。

わたし、というか、ほとんどの小児科医は、受診理由欄にこれが書かれていたら、少し身構えてしまうのではないでしょうか。

 

点滴の主成分は、お塩と糖分です。

必要であればそれに制吐剤などを追加しますが、ごはんを食べられない分の栄養を補うものではありません。そして、点滴は脱水の補正には使いますが、脱水の予防には使えません。

これから脱水になりそうだから、今のうちに点滴しておく、ということはできず、体内の水分がそれほど少なくなってないときに点滴しても、体には浸透せずすべてオシッコになって出て行ってしまいます。

なので、ゲーゲー吐いてるときは何もできなくてかわいそうな気持ちは分かりますが、実際何もできないのが実情です。しんどい子供をわざわざ病院に連れてくるより、胃腸炎初期の、嘔吐フェーズのときの半日はおうちで様子を見てあげるのが本当は正解です。そして、ほぼ点滴と同じ効果がある経口補水液が飲めるなら、もう点滴はいりません。

実際、経口補水液や経口補水療法が普及してから、胃腸炎やケトン性嘔吐の入院は劇的に減りました。

 

大人だとね、まぁ針さすのもそんなに大変じゃないしね(看護師さんがしてくれるしね)、意味ないなと思いつつも、効いた気になって満足して帰ってもらえるなら、あーだこーだ説明しなくていいしね、医療費もそれなりに払っていただけるしね、ある意味Win-Winなので点滴のハードルも下がりますが、子供は、嫌がって暴れればそれだけ体力も使いますし、その分外来止めると他の診療にも影響が出るし、手間かかるわりに医療費は大人ほど取れないし、、と思うと、そりゃ無駄な点滴はしたくないってなりますよね。

大人の10倍は手間がかかるちっちゃい子供の点滴、正直大人の10倍の保険料取ってもいいと思う(どうせ本人負担はだいたい定額だし)けど、そうなったらちょっとは点滴のハードル下がるかもですが(笑)いや。うそです。

 

問診票にそれが書いてあること自体は全然問題ないですが、最終的に必要かどうかを決めるのは医師の役割であり責任です。めんどくさいから、とか、儲けが少ないから、とかでは決してなく、子供のことを1番に考えて診療していますよ⭐︎

 

 

 

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