私は外干し派の女

洗濯物はお天道様にお願いしている

が しかし 寝具だけは この季節だけは。

 

というわけでシーツはお風呂の乾燥機用の竿に干してサーキュレーターで風を当てて乾かしている

これが意外にもよく乾いて良い

風の冷たい季節や天気の悪い日はここで乾かそうかしら そう思うぐらいに。

普段の洗濯は薄曇りや小雨ぐらいなら外に干す

軒が張り出しているから濡れたりしないけど やっぱり乾きは悪くてしっとりしている日がある

そのときは部屋干し用の物干し台を出してそこへ干し直しているけど

これからはお風呂の竿でサーキュレーターでもいいかもしれない

少し湿っているぐらいならお風呂に入るまでの時間で乾きそうだし

あんまり使ってなかったけど 竿 使えるな

 

竿といえばいつも脱ぎたてほかほかパンツをお風呂に入っているときに洗って竿にかけて干しているのだけど

その後の換気扇の風で落ちてしまっていることがあったりで悲しいことがあった

一番悲しかったのは ちょうど漂白中の排水口のトラップの上に落ちたらしく水玉模様になってしまったこと

まあ 2軍落ちさせて数回履いてみたものの やはりどうかと思ったので処分した

あれを平気で履き続けるような生活をしてはいけない

割れ窓理論から派生した水玉パンツ理論だ

水玉パンツを平気で履くようになる→部屋着でコンビニに行くようになる→楽な服しか着なくなる→おしゃれ?なにそれおいしいの?

これが水玉パンツ理論だ ちなみに今私が考えた

せっかく総レースのいわゆる「Tバック」の美しい下着をつけ

レースが痛まないように手洗いをしているのに

水玉に漂白されるなんて切なすぎる

 

同じ轍を踏むようなことにならぬよう考えていたところS字フックを発見した

竿にぴったりの大きさで我ながらいい考えだと思った

そして そこにパンツを引っかけたけれど片方だけで掛けると型崩れしそうだし

水玉パンツを数回履いた人間が言っても説得力がないが型崩れはいやだ まっすぐ干したい

だからといって 秘密の花園 付近を引っかけると広がりがなく乾きが悪い

生乾きに秘密の花園臭まで参戦したらパンツの中の治安の悪化は割れ窓理論どころの騒ぎではない

 

ということで 同じS字フックをふたつ引っかけて広げて干すことにした

うん 形もきれいだし 乾きも良さそう レースに負担もないし形を整えて干せる

満足していた すごく。

あの日 違和感を感じるまでは。

 

ある日 シーツを洗って お風呂の竿にかけようとしたら先客のパンツが美しく羽根を広げていた

濡れていた時には気づかなかったけど乾くとレースがピンと張って まるで

まるで・・・

 

映画 羊たちの沈黙の終盤

ハンニバル・レクターが収容されていた牢屋の看守が殺され

腹を裂かれて磔にされていたあのシーンのようだ

「クラリス!」と呼んでみたが風呂場独特のエコーがかかっただけで ジョディ・フォスターは当たり前のようにいなかったし

そもそも私のパンツはあんな星条旗カラーではなかった。

 

しばらくの間 真っ白なシーツを抱えたまま あのシーンに浸り

そして爪楊枝でハンニバルごっこをした思い出を噛みしめつつ

おもむろにハンニバル・パンツを横へ寄せ ひんやりとしたシーツを竿に干した