私の心の中が雑多なものでひっくり返っている

 

たとえていうなら

長いこと会いもしていなかった親が突然亡くなったと知らせが入り

遺品整理をしに家に入った瞬間に目に入る光景のような

どうでもいいものもものすごく大切なものも並列に押し込められて

ゴミ屋敷まではいかないけど要るもの要らないものなにもかもここに詰め込みました

さあ 取捨選択を急いで

とまあそんな感じ

 

自分の心の中だから自分のものであるはずなのに

人の気持ちも微妙に絡んできたりして

どこから手をつけていいものやら

呆然として入口で立ち尽くしている

 

断捨離の基本はとにかく全部を明らかにすること

ぜーんぶ引っ張り出して白日の下にさらし一度すべてを認識する

そのうえで要るもの要らないもの とりあえず横へ避けておくものを選んでいく

なるほど。

じゃあ 全部出してみよう と思って出してみた

こんな感情もあったのか と驚いてみたり

大切にしまっておいた気持ちが今となってはカサカサな無味乾燥なものだったり

忘れていたけど忘れていただけで絶対に捨てられないものだったり

物と同じで「いっぱいあるんだろうなー」の想像をはるかに越えて

あちこちに器用にしまい込んでいたあれこれが心の中の畳いっぱいに並んでいる

優越の順も古いも新しいも秩序もなにもあったもんじゃない

 

だだっ広い心の柔道場みたいなところで

ひとり途方に暮れてみる

ひとつひとつ やるしかない

それが一番の近道

 

中にはひよこのオスメスぐらいのはやさで心のゴミ箱に放り込めるものもあるし

これは桐のタンスへ と仰々しく収納されるものもある

困るのは どっちでもいいけどな、なぐらいの感情

それをちょいと横へ避けたもんなら気づいたときには横へ避けたものが山となって今にも崩れそう なんてことにもなりかねん

どっちでもいいなら捨てる

どっちでもいいなら置いておく

・・・よし どっちでもいい置き場を作ってそこへ入れておこう

そこへ鍵をかけて 一度も明けなかったら置き場ごと捨ててしまおう

そうしましょう そうしましょう

 

昨日の夜は見ないふりを決め込むコーナーに押し込んだ感情が

地殻変動によりマグマが噴きあがり

類焼に次ぐ類焼で一面焼け野原となったと思ったのに

不燃物たちは何事もなかったかのように鎮座していた

いっそ なにもかも灰になればあとは風の吹くまま と思ったのに 世の中本当にうまくいかない

 

このままそっと後ろ手にドアを閉め

鍵をかけて その鍵を海の中へでも投げてしまいたい

スペアキーはこっそりと靴の中へでも入れておいて。