まおうのえにっき:三話 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

『面倒だからサボった。』


何故か万桜は、腹が立った。

学生が学校をサボったかのように、悪気もなく

そして、微妙な苦笑いがさらに万桜の勘に触る。


なので、万桜はかみさまの頭を一発殴った。


『なぜ、私を殴る?』


万桜は、ニコリと笑みを浮かべてかみさまに平手打ちをした。


『貴方は、神の中でも高位な願神、【かみさま】でしょう…?
その貴方が、仕事を放棄してどうするんですか!!』


【私は、キチンと仕事をしているのに…

私は、こんなに不安なのに…】


万桜は、そんな感情でいっぱいになった。


かみさまは口を尖らせて答えた。

『だって、まおう、メールを返してくれないし~
願神って言っても聞くだけ…
叶えるのは、それぞれだし…
俺が、「いいな…」って思っても
叶えてなかったりするし~
めんどくさくなったの!』

【それが、願神の仕事のはず…

 罰のみを与え、人から嫌われるだけの存在の私に比べたら…】


万桜は、かみさまをもう一発殴ろうと思ったが、いくら幼馴染と言っても

今は、立場上、願神であるかみさまの方が上。

大きくため息をして、拳を下げて、幼馴染に話しかける口調でかみさまに答えた。


『神様はね、生き物に、楽しいとか嬉しいとかの感情を与える事が出来るけど…
悲しいとか辛いと言った感情を消す事が出来ないの…
それを、私ら魔族が食べる(浄化する)事によって、世界の精神
面の均等を保って居るの…』

かみさまは、コクリと頷いた…

『私がこっちの世界に来たのは、最近、悪が多過ぎる
から、直接叩くためよ!!』

【本当は、人を理解する為だけど…】


かみさまは、それを聞くと、ニヤリと笑い。

『ならば、私は直接、人間どもに笑顔を与えようでないか…』

万桜は、言葉を失った。

かみさまの頑固な事をしっている万桜は、これ以上何を言っても無駄な事は

幼馴染である万桜なら簡単に解っていた。


『じゃ、私はこの世界を堪能してまいる!』


かみさまは、万桜の返事を待たないで、そそくらとその場を去っていった。


『あの・・・』


万桜は振り返ると、先ほど助けた少女が立っていた。


【なんて失態だ・・・この少女の存在を忘れていた・・・】


『助けてくださってありがとうございます。』


万桜は平静を装っていたがどこが動揺していた。


『先ほどの方って・・・』


『あ。ああ・・・・なんだ、私の幼馴染でな、何の因果か・・・

私が引越した後に、あ、あいつもこっちに引越しになったみたいでな・・・』


【ああぁ・・・何と言う、バレバレなごまかし方なのだろう・・・

記憶を消すか??】


『あ、そうなんですかー♪

じゃ、私あの人を追いかけてきますね♪

この町、田舎だから都会とは勝手が違いますし♪』


少女はそういうと、走って万桜の前から消えた。


『・・・嘘をついている訳ではなさそうだけど。』


万桜は、人が嘘をついているかどうか・・・。

欲がどれくらいあるか、何を考えているか等がわかる力を持っていた。

そのため、先ほど言った少女の言動が嘘でない事が理解できた・・・

しかし、その行動が理解できなかった・・・


『それとも、ただの天然か??』


万桜は、顎に手を当てながら、不良たちが転がるその場を離れた。