『面倒だからサボった。』
何故か万桜は、腹が立った。
学生が学校をサボったかのように、悪気もなく
そして、微妙な苦笑いがさらに万桜の勘に触る。
なので、万桜はかみさまの頭を一発殴った。
『なぜ、私を殴る?』
万桜は、ニコリと笑みを浮かべてかみさまに平手打ちをした。
『貴方は、神の中でも高位な願神、【かみさま】でしょう…?
その貴方が、仕事を放棄してどうするんですか!!』
【私は、キチンと仕事をしているのに…
私は、こんなに不安なのに…】
万桜は、そんな感情でいっぱいになった。
かみさまは口を尖らせて答えた。
『だって、まおう、メールを返してくれないし~
願神って言っても聞くだけ…
叶えるのは、それぞれだし…
俺が、「いいな…」って思っても
叶えてなかったりするし~
めんどくさくなったの!』
【それが、願神の仕事のはず…
罰のみを与え、人から嫌われるだけの存在の私に比べたら…】
万桜は、かみさまをもう一発殴ろうと思ったが、いくら幼馴染と言っても
今は、立場上、願神であるかみさまの方が上。
大きくため息をして、拳を下げて、幼馴染に話しかける口調でかみさまに答えた。
『神様はね、生き物に、楽しいとか嬉しいとかの感情を与える事が出来るけど…
悲しいとか辛いと言った感情を消す事が出来ないの…
それを、私ら魔族が食べる(浄化する)事によって、世界の精神
面の均等を保って居るの…』
かみさまは、コクリと頷いた…
『私がこっちの世界に来たのは、最近、悪が多過ぎる
から、直接叩くためよ!!』
【本当は、人を理解する為だけど…】
かみさまは、それを聞くと、ニヤリと笑い。
『ならば、私は直接、人間どもに笑顔を与えようでないか…』
万桜は、言葉を失った。
かみさまの頑固な事をしっている万桜は、これ以上何を言っても無駄な事は
幼馴染である万桜なら簡単に解っていた。
『じゃ、私はこの世界を堪能してまいる!』
かみさまは、万桜の返事を待たないで、そそくらとその場を去っていった。
『あの・・・』
万桜は振り返ると、先ほど助けた少女が立っていた。
【なんて失態だ・・・この少女の存在を忘れていた・・・】
『助けてくださってありがとうございます。』
万桜は平静を装っていたがどこが動揺していた。
『先ほどの方って・・・』
『あ。ああ・・・・なんだ、私の幼馴染でな、何の因果か・・・
私が引越した後に、あ、あいつもこっちに引越しになったみたいでな・・・』
【ああぁ・・・何と言う、バレバレなごまかし方なのだろう・・・
記憶を消すか??】
『あ、そうなんですかー♪
じゃ、私あの人を追いかけてきますね♪
この町、田舎だから都会とは勝手が違いますし♪』
少女はそういうと、走って万桜の前から消えた。
『・・・嘘をついている訳ではなさそうだけど。』
万桜は、人が嘘をついているかどうか・・・。
欲がどれくらいあるか、何を考えているか等がわかる力を持っていた。
そのため、先ほど言った少女の言動が嘘でない事が理解できた・・・
しかし、その行動が理解できなかった・・・
『それとも、ただの天然か??』
万桜は、顎に手を当てながら、不良たちが転がるその場を離れた。