雷ー???何故ゆえなのか……寝取られ?寝取られがダメなの?
(ㆀ˘・з・˘)
何だコレ?感の強いあほ話なんですけれど……
それでもよろしければどうぞおひとつお付き合いをば。
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「なーなーって、な?お願いっ!!一回!一回だけでいいからさ〜?」
ここ、適度にいい感じな休憩スポットだったのになぁ……なんて事をぼんやりと考えている男と、そんな男に向かって両手を合わせ拝み願うチャラついた雰囲気の男。
なんて事のない麗かな平日の午後。
偏差値高めで有名な都内の大学、そのキャンパスにいくつかある休憩の為に開かれたスペース。ここはそんな中でも、売店などからも程遠くいつもひと気の少なくかと言って無人でもない小ホール。
何故ゆえにそんな利便性の少ないここを蓮が好き好んで利用していたのかというとだ……
それは現在どうやらやっかいな類の頼み事をされているこの男、敦賀蓮の類い稀なる美貌の所為であると、ただそれに尽きよう。
そんじょそこらの芸能人などよりよっぽどなまでのクラスに整った花のかんばせにしなやかに鍛えられた引き締まった身体付きと長身。
蓮の顔と名は大学入学と同時にキャンパス中に広まった。
その上に人柄は穏やかで紳士的ともなれば、それはそれはもう黙ってたってモテにモテる。
悪くすればハーレムだって作れそうなモテっぷりではあれど、蓮本人にそのつもりはないらしく、決まった恋人も居ないようでありながらも群がるみたいな女子から逃げるみたいに人目を避けた結果が、ここなだけなのだけれど。
「な?蓮と俺の仲じゃないか、いいだろ?」
そんな蓮の対面には、ヘラヘラと笑いながら蓮を拝み倒している男。
蓮と俺の仲だなんてさも親しげな事を宣ってはいるが……蓮からしてみれば辛うじて名前を知ってるくらいな友人とも言えぬ知人。
眉を下げ、こそりとため息を噛み殺す蓮。
もう既に何度か断りの言葉を告げている筈なのに、しつこくも頼み込まれ続けているのだ。
「蓮に悪い事なんてのはないし?寧ろ美味しくて、後々に問題も面倒もナシ!ヤんない方が損だって!な?なぁ?」
顔よし身体よし性格よしに将来生ありな美味しい男である蓮。
お付き合いして下さい!な告白からワンナイトラブな一回お願いしますやら、蓮の知名度と顔を頼りに飲み会やら合コンのお誘いなどもわらわら。こんなふうに拝むように頼み事をされるのもある意味で慣れたもの。
けれど……
口を挟ませぬ勢いでもって押せ押せでなんとかして承諾させてやろうな雰囲気さえある図々しいがまでの目の前のチャラ男が蓮へ願った頼み事、それはそんな蓮でさえ初めて耳にしたようなしろもので。
なにせ、その男が蓮へ願った事は……
自分の彼女と身体の関係を持って欲しい、それも彼が見ているその前で。
なんてとんでもないようなものであったのだ。
まぁ、ようはアレだ。目の前のチャラ男曰く、彼の性的嗜好はなんの因果か、世に「寝取られ」なんて言われているものらしい。
いや、彼に人に言えぬような性癖のひとつやふたつみっつやよっつ、あろうがなかろうがなんでも構わない。
ただ、それに自分を巻き込もうとしないでくれたならば……だ。
「なぁなぁ、キャンパスのミスコンに他薦されるくらいな美人だし、いいだろ?蓮なら慣れてんだろうしさ?」
その顔身体で遊んでない訳ないじゃん?とゲスさまで滲むような薄ら笑いでもって、自分の恋人を蓮に抱かせようと唆し続けている男。
何がなんでも蓮に頷かせてしまおうと言う気配を感じる。
既に何度も断ったと言うのに、本当にしつこい。
自販機で購入したカップのコーヒーを飲み干して席を立ち振り切ってやろうかとも考えたが……このしつこさだ、席を立った蓮の後を追ってまで付き纏ってきかねない。
なんせチャラ男の頼み事の内容が内容である。
自分のものではない他人のプライベートな秘密を、それもこの場にいないチャラ男の彼女まで巻き込んだそんな話題を第三者に振り撒きながら移動なんて出来やしない。
「な?彼女も蓮ならいいって言ってくれてるんだよ!」
傍目にも明らかに乗り気でない蓮を前に、不躾に自分の要求を続けている。
もういい。コーヒーを飲み干したら次のコマの授業を理由に席を立とう。そう蓮は心に決める。
蓮は、もう数度断った。聞かぬ相手が悪い。
そう割り切ったが為だっただろうか、蓮の頭は目の前のチャラ男から意識が外れ、つらつらと他の予定やらな事を浮かべだす。
つまり、思考がぼやけていた。
「NTRしかぐっと来ないそんな哀れな俺を助ける人助けだとでも思ってさぁ?蓮にも略奪系に興味とかない?ちょっと想像してみてよ?」
今日はバイトもないし、大学が終わったら……あぁ、そういえば昨日コーヒー豆が無くなりそうだって言ってたな。帰りにあの店に寄ってそのついでに……なんて上の空で聞き流している蓮。
けれど、蓮のその整った容姿とチャラ男の熱の入りようが相まってお互いの温度差に気付きもしない。
「たいせつなかわいいかわいい彼女。なめらかで白い彼女の肌を這う、自分ではない男の手。自分だけに許されていた筈なのに……それなのに」
自称寝取られ属性チャラ男くんは、なんだか芝居がかったまでの熱弁を奮っているけれど、それを右から左へと聞き流していた蓮。
そんな蓮がちょうど今、頭に思う浮かべていたのはお隣のたいせつでかわいいかわいい女の子。
蓮のふたつ年下。親同士の仲も良く、その子が産まれた時から一緒に育って来た幼馴染み。
少し人見知りな小さな小さな頃からずっと蓮に懐いてくれている妹みたいな大事な存在……そう思っていた。
「戸惑いと拒絶を浮かべた彼女の助けを求めるみたいや縋る瞳。自分じゃない男の手で乱れてゆく彼女…… 自分のものを奪い取られる怒りとそれをただただ見てるしか出来ない深い絶望と敗北感、その癖にどうしようもない興奮!仄暗い背徳を孕んだ衝動!他人に汚されてなお、いや、俺の為に他の男に抱かれたからこそ、更に愛おしい彼女っ!!」
グッと拳を握っては身振り手振りを交え語り続けてしまっているチャラ男。
どっぷりともう自分の世界に浸り切ったその様子。
だから、彼は気付けなかった。
我ながらひとには言えぬような頼み事をしている相手な目の前の男の変化に。
「…………ない、な。」
ぼそりと、つぶやかれ落ちた低い低い声。
苦笑と沈黙でもって、ありありと断りたいと拒否を示していた蓮からのアクションにチャラ男はやっと語るのを取り止め蓮へと視線と意識を向け…………ぴたりと動きを止めた。
いつものように温和な笑みを浮かべている男。
けれど、どうしてだろう?ぞわぞわと背中を悪寒が走る。
硬直するチャラ男へ、低い声は告げる。
「かわいいあの娘の隣に馬の骨が並ぶ?あの細い身体を好き勝手に撫で回す?それを許す?……俺なら、殺すね。」
クッと唇を釣り上げ仄暗く笑う男。
人当たりが良く柔和?嘘をつけ。目の前のこの男の、どこがだ?
恋人はいない筈な蓮が言うかわいいあの娘って誰だ?殺すなんて物騒な単語が笑えないみたいなブラックなオーラも、俺が頼んだのは寝取る間男側で寝取られ側ではない筈が……何故か寝取られ側な意識でいるらしき蓮の思考も、何もかもが良くわからぬまま上手く飲み込めないでいるチャラついた男。
かたかたと微かに身を震わせたまま、凍り付いたみたいに動かないチャラ男へ、トドメかのようににっこりと微笑んでみせた美貌の男はそのまま席を立つ。
スタスタと、遠去かってゆく足音。
どれくらいの時間がたっただろう?
衝撃を引きずるように休憩用の小ホールに雑多に置かれた椅子から立てないままでいたチャラ男へ
「あっ!ねーねー、蓮どうだって?OK?OKしてくれたのよねぇ?」
そう投げられた期待に弾んだ高い声。
キャンパスの男子から人気の高い、自分を良く見せる事に慣れた女。
どうにも自分へ靡く様子のない蓮へ、罠を掛けるように自称NTR属性なチャラ男との企みでもってまずは身体の関係へと持ち込んでやろうと目論んでいたらしいのだけれど…………
女へと視線さえ向けないまま、小さなテーブルを挟んで対面の蓮が居たその空間へ目を向けたまま、チャラ男は答えたと言う。
「悪い事は言わない…………蓮は、やめといた方が、いいと思うよ?」
らしくもなく、いつもの女へのデレっとした下心を感じさせるそんな素振りさえも見せないで、どこまでも深刻な声のトーンでもって。
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スマホの検索が「寝取られ」でサジェスト汚染されました。誰かに見られたら誤解されそう。笑
さてはて、そんなこの話。
何が言いたかったのかと言うとですね……
夜の帝王さまなアダルティなイメージだけあっていろんな性癖盛り易いあのお方だけんど、
寝取られジャンルって、敦賀さんとなかなかに対極じゃね?つー事だったりします。
壁|д')
いや、ほんと。お相手が有象無象な他の女人でなく、キョコちゃんとでな、寝取ら蓮くんとか……難易度高くて無理でしたもの。
_(:3 」∠)_
大学生なパラレル蓮くん。実は幼馴染みな妹への家族愛でなく肉欲込みな恋愛感情でもってキョコちゃんを見てるって自覚がやっとなニブニブ兄設定です。
この後、自分のかわいいキョコちゃんを他の男に取られないように外堀埋めて囲い込むのか、兄でなく男として!って強引にガンガン迫って口説くのか…………真摯に告白ってのがあんまり浮かばないあたりが猫木んとこの蓮くんだなぁって我ながら思ったりでしたとさ☆
くだんなくてごめんなされぃ!
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。