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敦賀さんが……コーンだと、そう言われた。
その低い声の言葉の意味を飲み込めないままに、茫然と見上げた彼は、艶やかな黒い髪と引き込まれそうな深い黒の瞳をした敦賀さんだとしか思えなくて……
でも……
「俺が飛ぶとすごいって嬉しそうに笑ってくれた事も、半分こにしてくれたアイスの味も、ハンバーグ王国を一緒に作ったことも……全部、覚えてるよ。」
柔らかに笑って彼が語るのは、敦賀さんにも他の誰にも話したい事もない……コーンと私だけのあの夏の思い出。
「……敦賀さんが、コーン?」
ぼんやりとそうこぼした私の言葉を肯定して頷いてみせる敦賀さん。
グアムで再会した私の頭の中を読んでしまう妖精と寸分違わずに重なる身体のデータ。
軽井沢の河原の光の中で一瞬だけ見間違えた姿。
新人のデータなんて把握してる筈もない敦賀さんが、私の誕生日や出身地を知っていたのも……ひとりで泣き場所を探していた私のところへ、敦賀さんらしくない深夜にやって来てくれたのも
全部…………コーンだったから?
敦賀さんがコーン……なのだという事は
「…………敦賀さんは妖精DNAの継承者じゃなくって、妖精だった……って、こと?」
そう結論付けた私の思考は、まるっと口からこぼれ落ちていたみたいで……
「ごめん……妖精DNAってのが何かわかんないんだけど、100%人間だから。」
少し慌てて、困ったみたいな顔をした敦賀さんがそう言う。
「人間……でも、だって……」
グアムで、また逢おうって飛んで消えてしまったのも……地球人離れした妖精企画の美貌。
それに、髪や瞳の色だって……
「うん。魔法も使えないから、目はカラーコンタクトで髪はMs.ウッズに染めてもらってるんだ。」
私の疑問が顔に出ていたのか、妖精の魔法を否定して敦賀さんはそう言った。
敦賀さんがコーンで……
だから、コーンにも敦賀さんにも同じくらいの深い闇があって。
コーンは妖精じゃなくって、ずっと人間で……
じゃぁ、グアムで会ったコーンも敦賀さんで……
ぐるぐると頭の中を巡る思考が纏まらなくて、俯いて禍根にはまりかけていた私の頬を大きな手が優しく包む。
そっと顔を上げさられて、私を覗き込むようにまっすぐに見る敦賀さんの黒い瞳と目が合う。
ただでさえ泣いて熱を持った頬が更に熱くなって、頬に触れる大きな手にその熱が伝わってしまうのが恥ずかしいなんて頭の片隅でそう考えていると、一度小さく息を吸いこんでから彼が言った。
「いろいろ混ざってるけど妖精じゃなくってアメリカ人で、名前もコーンじゃなくて、久遠。久遠・ヒズリという……」
その名前の持つ意味を理解しようとした私の思考は、正解へとたどり着く前に
続けられた彼の言葉にどこかへと吹き飛ばされてしまった。
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キョーコさん、混乱中☆
泣き止んでおられますが、再び泣いていただくという酷い予定っぷりとなっておりますの。
うーむ。やっぱり、コーンバレはバレるまでが楽しい。バレてからが難しーぃ。
ぼくのとこの蓮さん、すぐに詐欺ったり混乱に乗じて丸め込もうとなさりやがるから。
_(:3 」∠)_