手も足も上手く動かない
ねとりと絡みつく暗闇が重い


君を探していたのに……
嫌だ……お願いだから



必死に伸ばした指の先から
黒く、暗く……闇に




ぱちりと開いた瞼
薄暗い見慣れた天井に
夢だったんだと、理解するのに
まだ意識の何処かが
あの闇の隨に取り残されているようで
あぁ……



のそりと僅かに身を起こせば
ギィと軋む不愉快な音



隣に眠る君
触れようと伸ばした手が
夢の中みたいに
赤黒く染まって見えた
君に……触れると、汚してしまう
でも
触れて確かめないと
君が……君が…………




凍り付いたみたいに動けない
暗い……君が、見えない






暗闇の中に伸ばされた細い腕
抱き込むみたいに抱えられた頭
すぅすぅと髪を擽る寝息
暖かな、君



トクトクと鳴る君の鼓動



規則正しく優しいその音に



溶けてしまいそう

 



あぁ、まるでベルスーズみたいだ
そんな事を思いながら
やっと、瞼を閉じた。