「天使なんてそんなかわいらしいものではありえませんわ。だって、怪物ですのよ?」
この世の春が来た!!あのふたりに気を付けろ!!
そんなおめでたいんだか物騒なんだかよくわからないキャッチコピーが、一部のごく一部の人間の頭を駆け巡っていた。
それは、やきもきするからさっさとまとまってしえ!!と蓮とキョーコの思い込みとすれ違いに勘違いやらを煮詰めてそこにほんのちょこっとの大胆さを滴らせたような、じれったい両片思いに終止符が打たれたからだった。
盛大に泣きましたと如実にかたる真っ赤な目をしたキョーコがジレジレと恥ずかしそうに、でも笑顔を浮かべてマリアのもとを訪れたのは桜も散りはじめた暖かい日だった。その手はしっかりと今までで一番にデロデロに溶けた優しい笑顔の蓮の手に握られていた。
「ありがとう、マリアちゃん」
そう言って笑うキョーコと蓮に、ふたりの背中をポンと押したマリアもホクホクと幸せそうに笑うのだった。
「マリアちゃんは恋のキューピッドみたいだね。」と、そんな事を言う蓮と天使ね!とメルヘンな世界に旅立つキョーコにマリアは不敵な笑いを浮かべて言った。
「あら、私はお祖父様の孫ですのよ?あんなきっかけ作りだけで満足するような天使と、愛が主食で愛に生きるラブモンスターを一緒にしてはいけませんわよ?」
にやっと笑ったマリアは蓮とキョーコの手を取って
「さぁ、お祖父様に報告ですわ!」
と、全力で顔に「遊ばれたくない!!」と書いたふたりを引きずって、愛の怪物とそう呼ばれてしまう彼女のパワフル過ぎる祖父の所へと走り出すのだった。
その後社長宅の広間で、サンバにフラメンコ、ワルツにフラ果てにはブレイクダンスに至るまでの入り混じったダンサーが花をばら撒きながら踊りに踊る阿鼻叫喚の宴の後、蓮とキョーコはぐったりと柔らかなソファーに沈み込んでいた。その正面には、先ほどまで踊りに踊り狂っていた何故か童話の世界の王様めいた冠とマントに錫杖を持ったローリィがニマニマと踏ん反り返って座っていた。
「俺は猛烈に感動しているぞっ!!こうなったからには三日三晩は踊り明かしたいくらいにな!!」
もう充分ですから……と、じったりとした目線で語るふたり。
「盛大に祝って発表してやりたいとこだが………まだ、公表はするな。最上くんはまだまだ芸歴も短い。蓮の名前で潰すのは許さんからな。」
そう真剣な経営者の顔で語るローリィ。
公表した場合の想像に脅え震えるキョーコとどこかキュラキュラとした笑顔で頷く蓮。それにより、ふたりの交際は一部の人間にだけ知らされる事となった。
「今日はもう遅い。ふたりともうちに泊まってけ、マリアも喜ぶしな。………蓮、お前には、ちょいと話があるから残れ。」
そうしてその場に残ったどこかギクリとした顔の蓮とローリィ。
「俺は、お前がこっんな小せえ頃から知ってるからな。」
シャンパン片手にニヤニヤと笑うローリィがそう言って翳した指の隙間は1センチ程の幅を示していた。流石にそのサイズはどうだろう?といった苦笑を浮かべる蓮。
「だから、お前はかわいい。うちでの稼ぎ頭でもある。………だがな、あの子も是非とも磨いてみたい楽しみ原石で俺のお気に入りだ。マリアの心の痼りを拭ってくれた恩人でもある。………泣かすのは許さん。」
そう言い切る目は痛いほどに真剣で口を挟むことも許さなぬものだった。
「何にも知らない無垢な子どもをズルい大人の勝手で知らないままに、煮詰まったお前のエゴで突き進むことはするな。彼女の心の成長をちゃんと待ってやれ。」
キョーコがマリアときゃっきゃとパジャマパーティーな女子会をしている頃、蓮はラブモンスターにそう釘をグサリと深く刺されていたのだった。
だから、スキムミルクと蜂蜜とお砂糖とそんな甘い甘い甘過ぎるものを混ぜ込み練り込み煮詰めたみたいな………見ている方が赤面してまうような、口いっぱいに砂だか砂糖だか詰め込まれてジャリジャリするような甘い空気を作り出す、ちょいとした迷惑現象を引き起こすふたりの仲は目が合うだけでモジモジとしてしまうようなそんな小学生もあんぐりと口を開けてしまうような、実にかわいらしいもののままだったのだ。
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おや?ミニマムじゃないラブなモンスターが出て来る予定じゃなかったのになー。
(  ̄っ ̄)
当初の予定な妄想通りに進められるのかな?←不安。
まぁ、あれだよ。頼れるアドバイザーがいるから!たぶん、大丈夫。
らびゅ~ん♡