2024年4月13日(土)~2024年5月6日(月・振休)
東京都 本多劇場

 

作・演出:倉持裕

出演:林遣都 / 藤間爽子 / 柄本時生 / 新名基浩 / 佐藤直子 / 山崎一

 

あらすじ

思い返すと、その屋敷は確かに立派な門構えではあったが、迷子になるほど中が広大だったとは、男は思いもしなかった。
男は、気まぐれに親切にした若い女に招かれそこへ来た。

最初、女はこの屋敷の女中かと思っていたら、実は主人の女房だった。年の離れた亭主を持つと、若くともこんなアンバランスなムードを身にまとうようになるのかと、男は勝手に納得する。
屋敷の中は薄暗い上、廊下も恐ろしく長く、部屋の数も分からなかった。
数日経って、友人が連れ戻しに来たが、男は「帰ろうにも出口にたどり着けないんだ」などと困った顔をする。

中庭を挟んだ向かいの広間で、夜ごと催される誰かの宴。

その幻想的に揺らめく人影をぼんやり眺める女に、男は次第に惹かれていく。

男を躊躇させるのは、留守がちで、まるで自分の妻を斡旋するかのような、主人の謎の振る舞い。
引き留めるわけではないが、時折、何やら共謀をほのめかすような女と、その主人との間で、男は次第に正気を失っていく……

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公式サイトより

 

倉持裕さんといえば、

NHKコント番組LIFE!に構成作家して参加していたり、

江戸川乱歩を原作とした耽美ミステリな作品を上梓したり

幅広い作風が魅力なのでずが、

 

今回は昭和初期を材にとった

男と女と男の耽美で端正な世界。

 

暴れ馬から救った女性に招待された作家は、

迷路のごとく瀟洒な屋敷に逗留することになる。

 

屋敷の主は初老の実業家で、

救った女性は元女給の二番目の妻。

美しい妻と若い女に翻弄されるかのような初老の男。

 

作家もまた、

妻を男に寝取られ、自宅に戻りたくない事情があった。

 

ずるずると逗留を重ねるうちに、

男と女と男たちの関係に変化が訪れ……

 

というまあ、

和洋折衷の大正から昭和初期の佇まいが、

林遣都に似合う!!!

 

全体的に端正な雰囲気で、

唯一、崩れた感があるのが

柄本時生演じる友人で、

 

彼の醸し出す異物感、

外の人感が、

迷路のような物語の唯一の、

出口のような気もする。

 

まだ上演は続くので

詳しい感想は書きませんが、

 

夜の道をぼんやりと照らす提灯と、

提灯を持つ二つの手が雪あかりに浮かぶ。

 

そんな感じの

お芝居でございました。