第三百五十三話 〈昔話風〉はいいろねこの ねがい | ねこバナ。

第三百五十三話 〈昔話風〉はいいろねこの ねがい

【一覧1】 【一覧2】 【続き物】 【御休処】 【番外】【育児日記】

※ またもやおはなし更新が滞っていてすみません<(_ _)>
  早いもので、もう大晦日でございます。

  本日は、皆様からの「おはなしリクエスト」シリーズ。
  今回のリクエストは、白墨さん から。
  ある猫さんの思い出、そして彼女にまつわる実話を、アレンジさせていただきました。
  どうぞお楽しみくださいませ。
  ではどうぞ。


-------------------------------

さてさて みなさま ごぞんじか
きゅうしゅう ひごのくにの ねこだけに
ちいさな おやしろが ある
おまつりする ひとも もう たえて
たてやも とりいも ひどいありさま

ところが そこは ねこの おうさまの
だいじな だいじな おやしろで
としのくれに なると たくさんの ねこが
れつを なして おまいりに くるんだと

「おいら もっと つよく なりたい」
「あたいは ねずみを つかまえるの うまく なりたい」
「あったかい おうちが ほしいよう」
「うんまいものを たらふく くいたいのう」

そんな いろんな ねがいを かなえて もらいに
にほんじゅうから ねこが あつまるんだと

  *   *   *   *   *

ある としの くれのこと
ねこだけに もうでる ねこたちの なかに
ぽつねんと ひとつ はいいろの ねこが あった
すこし つかれた ようすの はいいろねこは
いっしょうけんめい とうげを のぼった

「ひいひい ふうふう もうすこし」

ずらりと つづく ねこの れつ
いったい もうでるのに いつまで かかるやら
それでも はいいろねこは ずうっと まった
おなかが すいても
あしが つかれても

「おねがい しなきゃ おねがい しなきゃ」

はいいろねこは そのときを まった

  *   *   *   *   *

ごおん ごおんと じょやのかね
さとから ひびいて きたときに
ようやく はいいろねこの じゅんばんが きた

「ねこの おうさま おねがいが ございます」

はいいろねこは そのばに へたりこんで
ねこの おうさまに てを あわせた

「ふぬ おぬしは なにものじゃ」

まわりに おにびを まとった
おそろしげな ねこの おうさまは
ちに ひびく こえで そう いった

「あたしは じょうしゅうから まいりました ジョウと もうすもの
 ちいさいころに ひとに すてられて
 しにそうな ところを じいさまに ひろわれて
 なに ふじゆうなく くらして まいりました
 ゆいいつの ふじゆうと いえば
 いのちと ひきかえに うしなった かための ひかりだけ」

はいいろねこの ひだりめは
つむったままに なって おった

「あたしも もう としで ございます
 らいねんの はるには おむかえが くることで ございましょう
 ですが あたしは しんぱいで たまらないのです
 あたしを かわいがってくれた じいさま
 あたしが いなくなったら どんなに かなしむか
 きっと さびしくて びょうきに なって しまうのではと
 いまから しんぱいで たまらないのです」

きんいろの みぎめから
つむったままの ひだりめから
はいいろねこは なみだを ぽろぽろ こぼした

「ふむ それで おぬしの ねがいは」

ねこの おうさまの といかけに
はいいろねこは こう こたえた

「あたしが いなくなって すこうし たったら
 じいさまが さびしがらないように
 いっぴきの こねこを じいさまの もとへ
 つかわして やっては くれませんか
 なにとぞ なにとぞ おねがいもうします」

はいいろねこは みつゆびを ついて おねがいをした

「ふむ ひとに いちど すてられたと いうに しゅしょうな ことよ」

ねこの おうさま ぶうむ と いきを はいて

「それで よいのか」

と たずねた

「はい」
「その じいさまが こねこを うけいれて くれるとは かぎらんぞ」
「きっと きっと だいじょうぶです だいじに そだてて くれるでしょう」
「じいさまが よくても いえの ものは どうなのじゃ」
「きっと きっと だいじょうぶです みんな かわいがって くれるでしょう」
「なるほどのう」

ねこの おうさま また ぶうむ と いきを はいて

「あいわかった そのように いたそう」

おごそかに そう つげた

「ただし らいねんの くれに また くるのじゃぞ」
「は」
「てんの くにから みやげを もってな」
「はいはい きっと まいります」
「ふむ よろしい むかえが くるまで ゆるりと くらせ」
「ありがとうございます ありがとうございます」

はいいろねこは なんども おれいを いって
なんとも すがすがしい かおを して
ねこだけを ゆるゆると おりて いったんだと

  *   *   *   *   *

さて そのつぎの としの くれ
ねこだけに もうでる ねこたちの なかに
ぽつねんと ひとつ はいいろの ねこが あった
てんの くにから おりてきた はいいろねこは
いっぱい みやげを せおって やってきた

「おうさま ねがいを かなえて くだすって ありがとう ぞんじます」

ねこの おうさまの まえに くると
はいいろねこは みやげを ひろげて おれいを いった

「あたしは やよいの おわりに てんへと のぼりましたが
 おかげさまで あきには こねこが やってきました
 じいさま ばあさま とうさま かあさま よにんの しまい
 みいんな そのこを かわいがって くれます
 まことに まことに ありがとう ぞんじます」

ねこの おうさまは みやげの しなじなを ながめて
むふふ と ふくみわらいを した

「うむうむ」
「これは おれいの しなで ございます どうぞ おおさめを」
「うむうむ よきに はからえ」

かつお またたび ふかふか ざぶとん
どれも ねこの すきな ものばかり
ねこの おうさま よろこんで にんまり わらった

「つきましては おうさま」
「なんじゃ」
「もうひとつだけ おねがいが ございます」
「ぬぬ」

はいいろねこは ぱっと かおを あげて いった

「じいさまの まごに よにんの しまいが ございます
 いちばん としうえの おんなのこ あたしと だいの なかよしで
 いつも いっしょに いたのです
 あのこの ことなら なんでも しっているです
 そのこが あたしに やくそくしたのです」
「ほほう」
「はなよめすがたを みせて くれると」
「なんと」
「しかし あたしは こうやって てんに すむ ねこと なりました
 もう あのこの はなよめすがたを みることは できないのです」

そうして はいいろねこは
ぽろりぽろりと なみだを ながした

「ふむう」
「おねがいです あのこの はなよめすがたを あたしに みせて ほしいのです
 なにとぞ なにとぞ おねがい もうします」

はいいろねこは ぺこりと あたまを さげた

「ふむう よくのふかい ねこじゃ おぬしは」
「はい」
「まあ それも ただしい ねこの ありかたよ じゃが」

ねこの おうさま ぶうむ と いきを はいて いった

「どうやって おぬしに その すがたを みせたものか」
「はあ」
「それが もんだいじゃ」
「あのう てんから おりて くる ことは」
「いやいや それは まかりならぬ もどれるのは おぼんの とき だけじゃ」
「はあ それでは もういちど うまれかわって」
「ならぬ ならぬ そう つごうよくは まいらぬぞ」
「はあ それでは いったい どうしましょう」

はいいろねこは またしても
ぽろりぽろりと なみだを こぼした

「まあ やりようは あるには あるがのう」

もったいぶって ねこの おうさまは
あごを なでなで そう いった

「なにか みやげが なくてはのう」
「は」
「これだけでは なんとも いえんのう」
「まあまあ なんと よくぶかい おかた」
「そうよ これが ただしい ねこの ありかたよ」

ねこの おうさま そう いって わらった

「さて それでは こうしましょう」

はいいろねこは ぽふ と にくきゅうを たたいて こう いった

「あのこが はなよめに いくまで」
「ふむ」
「まいとし おしょうがつには あのこに ねこの おうさまへ」
「ふむふむ」
「おそなえものを させるように いたしましょう」
「ふむふむふむ」
「そうして ねがいが かなった あかつきには」
「ふむふむふむふむ」
「あたしの おはかに おさけを ひとびん とどけさせましょう」
「ほうほう」
「あたしは それを かついできて」
「ほうほうほう」
「おうさまに おとどけ いたしましょう」
「なるほど それはよい」

ぽぽん と ねこの おうさまは
おおきく つきでた おなかを たたいた

「それでは これを しんぜよう」

ぴゅうううう と おうさま いきを ふくと
きらきらきらと かがやく ひとつの てかがみが
はいいろねこの まえに おちて きた

「これは せかいを みわたす てんの かがみじゃ
 これを こねこの めに つうじさせて おくぞ」
「はあ」
「おぬしは この てかがみで
 むすめの ようす かぞくの ようす 
 みいんな みられる ようになる」

はいいろねこが てかがみを のぞくと

「こらこら にゃーこ どこへいく」
「あたしにも だっっこさせてよー」
「はい おじいさん おさけですよ」
「うんうん」
「ほらほら にゃーこ よじのぼるんじゃ ありません」
「まったく にゃーこは いたずらっこねえ」

おおみそかの おうちの ようすが はっきりと
てかがみの なかに うつって おった
はいいろねこは とびあがって よろこんだ

「まあ なんということ」
「おぬしが むすめの はなよめすがたを みられる そのひまで
 おぬしに あずけて おくことに する」
「ありがとうございます」
「そのかわり」
「そのかわり」
「おそなえを わすれぬように むすめに いって おくのだぞ」
「ははっ」
「するめ でも よいぞ にぼし でも よいぞ」
「たしかに たしかに つたえまする」
「わははは これで いっけん らくちゃくじゃ」

ねこの おうさま そう いって
からからからと おおきな こえで わらったんだと

「ありがとうございます おうさま」

はいいろねこは うれしくて
てんにむかって

「なぁーーーーおん」

たかく たかく ないたんだと

  *   *   *   *   *

「…お姉ちゃん、お姉ちゃんってば!」
「…ううーん…おジョウ…」
「お姉ちゃんてばもう、何寝ぼけてんのよ」
「…はっ! お嬢! お嬢はどこ!?」
「そんなこと言ってると、おじいさんにどやされるわよ。ほら、にゃーこが遊んでほしいって」
「うみゃ~ん」
「ああ、そう…にゃーこ、ほらおいで~」
「うみゃ~ん、ふるふるふる」
「…はっ、そうだ。お供えお供え」
「え、何?」
「神様にお供えよ」
「何を」
「するめでもにぼしでもいいからって」
「…突然どうしたの…?」
「とにかくお供えするの! はやく持って来てよっ」
「はいはい…」

ぱん、ぱん

「どうか、猫の王様に届きますように…」
「…どうしたのお姉ちゃん」
「…さあ…」

ごおーん

「あ、除夜の鐘…」

ごおーん

「どうか、お嬢の願いがかなえられますように…」

ごおーん

「…あたしも頑張らなきゃ…」

ごおーーーーーーん

  *   *   *   *   *


さてさて
みなさまは
ねこの おうさまに おねがい するならば
どんな おねがい
するのでしょう

きっと いまごろ ひごのくにの ねこだけでは
たくさんの ねこたちが
にんげんと おなじような
ささやかで ぜいたくで ちいさくて おおきくて
ほしのかずほどの おねがいを
しているに ちがい ありませぬ

では みなさま よい おとしを



おしまい








今年も 駄文に おつきあいくださり
ほんとうに 有難う存じます
なかなか おはなし更新 ままなりませんが
これからも ぼちぼち 書いてまいります

年末にすてきなおはなしを提供してくだすった 白墨さん
改めて 御礼を申し上げます
お嬢のおいたち にゃーこさんの登場
これは ほんとの はなしです
白墨さんは 猫の王様に
ちゃあんと お供えを してくだすったとのこと

来年が 皆様にとって
実り多き すてきな年となりますよう

3にゃんズとともに
お祈り申し上げます

よいお年を


にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ
「にほんブログ村」参加中



■□ブクログのパブーにてチャリティ配信中!□■
※PC・スマートフォンのみ
$ねこバナ。
著作権フリーでお使いいただけます
『猫のおはなし集(絵本にも、読み聞かせにも)』