天皇のしらす國 | 旗本退屈女のスクラップブック。

西村眞悟の時事通信

 

平成29年4月29日(土)

昭和天皇は、
明治三十四年(西暦一九〇一年)、
四月二十九日、午後十時十分、
東京青山の東宮御所内御産所において、
皇太子嘉仁親王の第一男子としてお生まれになった。
御身長は一尺六寸八分(約五十一センチ)、御体重は八百匁(約三千グラム)。
同年五月五日、
御誕生第七日につき、御命名式が執りおこなわれ
天皇より、御名を裕仁(ひろひと) 
     御称号を迪宮(みちのみや)と賜られた。
以上、昭和天皇実録

よって本日、四月二十九日は、昭和天皇の御誕生日で、国民の祝日である。

早朝、新緑の仁徳天皇御陵に参り、
日本国の安泰と皇室の彌榮そして、
天皇皇后両陛下の御健勝を切にお願いした。

昨日の四月二十八日の翌日が本日の昭和天皇の御誕生日であるといふ、
この連続した二つの日の符合に、あらためて、
昭和天皇が、我が国の歴史に遺された大恩を思ふのである。

昭和二十七年四月二十八日に、
サンフランシスコ講和条約が発効して我が国は主権を回復し独立した。
即ち、我が国は、二十年九月二日に調印された降伏文書にある
「天皇及び日本国政府の国家統治の権限は、連合国最高司令官の制限下におかれる」
という連合国による占領から解放されたのである。
従って、
平成二十五年四月二十八日、
再び新しく誕生した安倍内閣は、政府主催で
天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、主権回復を祝った。
これは、
我が国の悠久の國體の歴史における、
安倍内閣の最深の功績である。
何故なら、ここにおいて、
公的に、次のことが確認され確定したからである。

(1)我が国には、敗戦による昭和二十年九月二日の降伏から
   同二十七年四月二十八日のサンフランシスコ講和条約発効までの間、
   連合国の占領下におかれ国家主権はなかった。
(2)この主権のないときに我が国から奪われたものは
  大日本帝国憲法、帝国陸海軍、教育勅語、歴史教育・・・。
この主権のないときに我が国に押しつけられたものは、
日本国憲法・・・。
(3)よって、「日本を取り戻す」とは、
  我が国に主権がないときに奪われたものを取り戻し、
  我が国に主権がないときに押しつけられたものを排除することである。
  即ち、大日本帝国憲法、軍隊、教育勅語、歴史教育・・・を取り戻し、
  日本国憲法の無効を宣言することが、
 「日本を取り戻す」ことである。

従って、四月二十八日に以上のことを確認し、
本日、四月二十九日の昭和天皇の御誕生日という国民の祝日において、
昭和天皇はつとに何を国民に発せられていたのかを振りかえるならば、
改めて、
昭和天皇こそ、
我が国が主権を剥奪されたその期間においても、
我が国の「國體」
即ち
「日本が日本である根源の姿」
をたった御一人で
守りとおしておられた偉大で神聖な天皇であられたと思ふのである。

昭和天皇の「終戦の詔書」(玉音放送)と続く「新日本建設の詔書」そして御製
および御生涯を通じて続けられた全国ご巡幸は、
ことごとく、
日本が悠久の神代より
天皇を中心に国民が一つの家族のように
協力し助け合ってきた国、すなわち、
天皇がしらす国、
であることを顕すものであったとしみじみと思ふ。

しらす、とは、
自分以外にある他のものを、
我が身にうけいれて、他のものと我とが一つになること、
即ち、自他の区別がなくなって、一つに溶けこんでしまうこと。

天皇による「統治」とは、
この「しらす」ことであり、
我が国は「天皇がしらす国」である。

敗戦のとき、
昭和天皇が国民に発せられた次の思いが、もっとも権威あるものである。
玉音放送(昭和二十年八月十五日)においては、

朕はここに國體を護持し得て、
忠良なる爾臣民の赤誠に信倚し、
常に爾臣民と共に在り・・・と。
さらに、
確く神州の不滅を信じ・・・誓って國體の精華を発揚し・・・と
我が国の国柄の不変を鮮明にされた。

「新日本建設の詔書」(昭和二十一年一月一日)においては、
冒頭、明治天皇の「五箇条の御誓文」全文を掲げられ

叡旨公明正大、又何をか加ヘん。
朕はここに誓いを新たにして國運を開かんと欲す。
と述べられ、
戦前と戦後、明治と昭和の連続性、
つまり、我が国の悠久の連続性を宣言された。

そして、御製は、
昭和二十年秋に
  ふりつもる深雪にたへて色かえぬ松そををしき人もかくあれ
昭和二十三年の歌会始には
  冬枯れのさびしき庭の松ひと木色かへぬをぞかがみとはせむ

共に、松の色をかえない姿を通して、
敗戦と占領下においても、
日本の国柄と日本人は変わってはならないこと示されている。

帝国陸海軍は、
我が国を守ることはできなかったが、

昭和天皇、御一人、

連合国の前に屹立され、
悠久の我が国の國體は守られた。
これを、
大恩、
と言わずして何と言う。
世界諸民族の歴史のなかに、
このような働きをされた元首が他にあろうか。