インタビューwithキタイ花ん

高田:お二人の漫才を聞いていると“言葉に対するこだわり”を強く感じるんですね。男前というのを表現するのに、普通であれば『イケメン』とかいう言葉を用いると思うんですけど、『顔面が端整な人』という風に、どちらかというと持って回ったような独特の言い回しをされますよね。


幸:私は言葉に対する好き嫌いが激しくて、よく使われている言葉の中で言いたくない言葉が多いんです。


高田:例えばどんな言葉を言いたくないですか?


幸:『女の幸せ』とかは特に嫌ですねえ。そういう風に感じる物がたくさんあって、それを排除していった結果として、あのような言い回しになっているんだと思いますね。


高田:言葉への感受性を磨くために、本を読んだりとか何かしている事はありますか?


幸:新聞をよく読みますね。


彩:困ったことに、新聞ってね。一日二回くるんですよね。


幸:しかも朝、夕ですよ。


高田:じゃあ取らなきゃいいじゃないですか(笑)。


彩:まあ、そうなんですけど、色々な事情がありまして……。毎日読むんじゃなくて、ある程度溜まってきたなと思ったら、一気に読むというのが多いですね。たまに面白い言葉とかがあるんで、切り抜いてスクラップにしています。


幸:実は一番、切り抜いているのがフクロウの写真なんです。


高田:お二人ともフクロウがお好きなんですか?


彩:フクロウは私も目がないですね。昔、朝日新聞に『今朝の鳥』っていうコーナーがあったんですよ。いろんな鳥を紹介していくコーナーなんですけど、それは欠かさず読んでいました。


高田:鳥を飼ってみようという気は?


彩:それは気持ち悪いんで嫌ですね。


幸:臭いですし。


高田:やっぱり臭いがダメなんですね(笑)。ちょっとお笑いの方へ話を戻したいと思うんですが、お二人の漫才は『ハインリッヒワールド』といえる、独自の世界観を作り出しておられると思うんですが、逆にいえばマニアックすぎて万人受けはしづらいという面があると思うんです。その辺りについては、どうお考えですか?


幸:ここ四、五年でこの傾向が特に顕著になったと思うんですけど、みんながわかりやすい芸をやりすぎたせいで、逆にお客さんを退化させてしまっている部分もあるんじゃないかなと。


彩:昔はもっと堂々とネタをしていた芸人さんが、今より多かったと思うんです。「何だこれ?」っていうのもいたと思うんですけど、それによってお客さんがプロのお客さんになっていったという関係性があったと思うんです。


幸:確かにお客さんに伝える事というのは大事だと思うんですけど、わかりやすさにこだわる事によって、“わけがわからんけど素敵な事”とかを見失っている感じもしますね。


高田:既存の漫才の型を壊そうという意識はありますか?


幸:うーん。どうなんでしょう。ただダイマルラケット師匠、いとしこいし先生、やすしきよし師匠など、今までの漫才を作って来られた先輩方への敬意は強くありますね。


彩:そういう師匠方の昔のビデオをとかを見ると、本当に自由にやってはるんですよね。


高田:お笑いをやる上で自覚されている長所と短所を教えて下さい。


彩:これはもう裏表なんですけど、一貫している所です。ぶれずに自分たちの世界観をやり続けているとこになりますね。あと、他の長所になりますと、のどぬ~るスプレーを欠かさず持ち歩いているところですね。


幸:若干かぶったんですけど、私の長所は腹式呼吸のために腹筋をしているところですね。


高田:その成果は出ていますか?


幸:出ていますね。腹筋をした時は声の出方が違いますからね。


高田:お笑い芸人というのは天職だと思いますか?


彩:お笑い芸人というといろいろなスキルが要求されると思うんです。だからその全てが向いているのかと言われたら、わかりません。ただ私たちは漫才が好きなんで、そちらに対するこだわりの方が強いですね。


高田:ご自分で不器用だと思いますか?


幸:思いますね。


彩:あと、私たちって自分で言うのも何ですが、めっちゃ真面目ですね。


幸:真面目で優しいです。


高田:本当の優しさって何だと思いますか?


幸:例えば道を歩いていて、ひっくり返っている人がいたとするじゃないですか?


高田:あの……ひっくり返っているというのは?


彩:カナブンとか亀で想像してもらうと、わかりやすいと思います。例えば目の前で亀が裏返っていたら、どうしますか?


高田:元に戻してあげますね。


幸:そういう事なんです。それが本当の優しさのはずですし、ひっくり返っているのを元に戻すというのは、人でもカナブンでも変わらないと思うんです。しかも、それをさりげなくできたら、言う事なしですね。


高田:最後に今後の目標を教えて下さい。


彩:骨がずれているんで、それを直したいです。そのせいで毎日、しんどいんですよ。


幸:私も同じです。レントゲンを取ると骨がガタガタなんです。いい整骨院を先輩の女芸人さんに紹介していただいたんで、早くそこに通いたいんです。


高田:一日でも早く、骨のずれが直る事を願っております。

             インタビュー・文 高田豪