中国の家具金物 | とあるインテリア・家具デザイナーのブログ

中国の家具金物

中国で家具をデザインしていてずっと悩んでいること、

それは中国の家具金物の質があまり良くないことです。

家具に対する金物の機能は

1、扉を支え、回転もしくは移動させる
2、引出しをスライドさせる
3、扉、もしくは引出しを空ける
4、家具本体の加重を支える
5、構造を形成、固定させる

ざっと考えただけでも、このような機能があります。
となると必要な家具金物は名称で呼ぶと

1、各種丁番(平丁番、ピアノ丁番、自由丁番など)
2、スライドレール
3、各種取手
4、スチール、ステンレス、アルミなどの金物造作
  またはアジャスター、プラパートなどの脚の
  底面に対応する物
5、上の4と同じ

になります。
で、質がどう悪いの?という問いの答えは大きく言うと
精度の無さ、材質の粗悪さ、ということになります。

例えば使用している内に
◯扉がずれてくる、もしくは落ちてくる
◯引出しがスムーズに空かない
◯テーブルなどがガクガク揺れる
このような経験はありませんか?
というか中国に住んだ経験のある方はほとんどこのような
経験をされているのではと思います。

これらの要因は家具自体の質(これは中国だけの話ではない)
もありますが、ここ中国においては中国製の金物の質の悪さ
に起因する部分がかなりあると思います。

中国の家具全般の質の低さを懸念する方もいますが、かなりの
工場(とくに私の知っている上海及び上海近郊の工場)ではその問題は
すでに解消されています(日本にも安いだけでレベルの低い工場
はいっぱいありますからね)。

で、冒頭の部分の「なんでそれで悩んでいるか?」の答えは
家具金物も質が低いゆえに、それがデザインに干渉してくること
なんです。

私が趣向する家具は極力シンプルなデザインを目指しています。
ですので、家具金物を極力見せたくないんです。

例えば扉に丁番をつけるのに、加重が心配だからどうしても大きな
丁番をつけざるをえない、それゆえ丁番の頭の露出が大きく見えて
デザイン性を損ねてしまう。
引出しに関しても大きいスライドレールをつけざるをえない、
それゆえ引出し内部の幅が確保できない。

日本にいたときは、そんなこと気にしたことはあまり無かったんですね。
中国の家具金物の質は低いのですが、もしかしたら日本の家具金物の
質がものすごく高いのか?どの部分を基準に置くかで考え方は変わって
くるのですが.....

しかしマーケットの必然として商品に対する高品質化の欲求が消費者の
観点から高まってくると、それに応じた需要は生まれていきますから、
数年をかけて、少しずつこの問題も解消されていくのでしょう。

先日、家具金物メーカーの人間とも話をしましたが、やはりこの部分は
認識しているようで、質の高い商品開発に余念がないようですね。

デザイナーの欲求、厳しい要求が質の向上を比較的短時間なタームで
早めていくことを期待しています。