鎌倉に本店がある蕎麦の老舗らしい。鎌倉も観光地であろうが、丸ビルも東京の観光地である。この店はとくに観光客に近い客層が多く、近隣のオフィスビルに勤務する層が少ないことから、入店した直後に期待感は失せた。少なくとも周辺の飲食店で、幼児が走り回っているような店はとても珍しい。

入店前に確認することはできたが、蕎麦の価格は観光地料金。この日、オーダーしたのは、せいろ 840円を大盛り+300円増、とろろご飯350円(会計の際、合計はなぜか合計で1,470円だったが)と大変立派な価格である。酒の肴として、つまみも各種揃っていたが、平日の昼間から鳥わさで一杯飲むわけにはいかないので、こちらは断念する。

さて蕎麦は、本店では二八が基本ということだが(この店も同じだろうと思われるが)、そば粉の香りはあまり強くない。とりたてて上品でも、力強い感じでもなく、それなりにコシはしっかりしているものの、あまり特徴は感じられない。つけ汁は、比較的鰹節が強い感じで、やや甘め。悪い蕎麦ではないものの、感嘆するような蕎麦ではないと言う意味でも観光地的。

ただ、蕎麦を注文した場合にのみオーダーできる「とろろご飯」は、まずまずボリュームもあり、なかなか美味しかった。蕎麦だけだと物足りないが、ナイス・アシストである。

さすがに1,470円も払って、そばとご飯を平らげれば、満腹感は充分に得られる。もっとも、胃袋を満たすだけなら、たとえ丸ビルといえども、他の選択肢が多いに考えられる。

鎌倉 一茶庵 丸山
東京都千代田区丸の内2-4-1 丸ノ内ビルディング6F
03-3201-0755