20代の頃から、毎年夏と冬、特定のバイク仲間達とツーリングを実施している。メンバーは少し変化はあるものの、アラ還となった今もなお続いている。


当時は、夏は2泊、冬は1泊、鉄の掟(笑)のあるツーリンググループである。(今は少し緩くなったが...)

ツーリングの企画は輪番制。

ツーリング会議にて、その年(同窓会のあった年)の宿泊地は、彼女の住む街であると発表された。

気になる。とても気になる。何度か訪れた事もある彼女の住む街に行くなんて、気にならない訳がない。こちらは、結婚して子どももいるので、いまさらヨリを戻したいなんて気はない。

ただ、(元)彼女が元気にしているか、幸せに過ごしているか、あの笑顔で今も過ごしているか、

それだけを知りたかった。


熟考の末、彼女の実家(当時は携帯電話は普及してない)に電話をかける事にした。


あっけなく、すぐに電話で話すことができた。

挨拶を交わし、不自然な世間話。内容は覚えていないが、夏になると君の住む街に行く。と伝えた。顔を見たいと伝えた。

すんなりと返事は貰えなかった。当然だ。

顔を見れなくても、家の前に行ってみると伝えた。


そしてツーリングの日を迎え、その日の夕方、(元)彼女の街に着いた。


ところが、こんな時に限ってマシントラブルである。バイクが止まってしまった。

仲間とはぐれてしまい、バイクは動かないままだし、なんてこった!状態。


とても彼女の家に行ける状態ではない。せっかく同じ街に、同じ空の下にいるのに、だ。


結局、学生時代の彼女との再会は果たせず、なんとも思いがけない結末でその日の夜を迎えた。


翌年、バイクを買い換えた。   


           終