恋愛をする度に、何かが引っ掛かっていた。
相手のことは好きだし大切だし特別なのに、いつも何かが嫌だった。
「彼女」って呼ばれるのが嫌だった。
「彼女」として扱われるのが嫌だった。
身体が交わるのも好きじゃなかった。
彼女じゃなくて、私は私。
彼女じゃなくて、特別なパートナーとしてなら、私は誰かと一緒に居られるのかも知れない。
時々は、彼氏みたいになりたいの。
ドンと構えて、相手の喜ぶ顔や安らぐ顔だけをずっと見ていたいときもある。
喜びに瞳を輝かせる姿を愛しく思うときもある。
ぐっすりと眠る寝顔を幸せに眺めるときもある。
してもらってばっかりじゃ嫌なの。
時々は「王子様みたいだね」って言われたい。
「なんか彼氏みたいだよね」って言われたい。
彼女らしく振る舞えなかったら、何故か敵対するようになる人が多かった。
なんかな、彼氏彼女っていう関係性が、あまり好きじゃない。
誰かの彼女になるのは嫌だ。
誰かを彼氏にするのも嫌だ。
私は私だし相手は相手、それだけでいい。