勤め先の施設を利用している方から、本当はよくないのだけど、たまにいただき物をすることがある。

サイズを間違って注文したTシャツとか、健康に配慮したあまり美味しくない飴玉とか。


その方たちは、長生きはできない、ということがある程度予測されている。


受け取ったTシャツは伸びても捨てずに着ている。

美味しくない飴玉も、気が向いたときに食べている。


もう会えなくなった人も居る。


私の立場的に、どうしてものをくれるのかが疑問だ。

もっと直接的にお世話になっている人だってたくさん居るだろうに。


もしかしたら人は、自分に残された時間が少ないと自覚した瞬間に、自分のことも人のことも、もっと愛せばよかったと後悔するのかも知れない。


Tシャツの一着が、飴玉の一つが、なんとなく重い。

その人の与えたかったもの全部が、一つ一つに詰まっている気がする。


どれだけ愛してくれる人が居ても、どれだけ物質的に豊かでも、人は、人を愛せないかぎりずっと苦しい。

そんなことを思う。