経済評論家の内橋克人さんが9月1日に亡くなっていたことを、迂闊にも知らなかった。弱者の立場から闘ひ続けた不屈のライターで、心から尊敬していた。もう少しお元気でいて欲しかった。

 

 「匠の時代」シリーズ他、若い人にも読んで欲しい。

 

 

 さて、日付けも号番も入っていないが、恐らく2015年4月に書いたと思はれる記事を、仕事に関はる部分を削除して再掲します。6年前だが、我乍ら参考になるなぁ、と思った。この時点では、消費税が8%だったことを念頭に置いてお読み下さい。

 

以下、再掲記事です。

 

 先日、うちの三男と話をしていたら「消費税がなくなると財源に困るんじゃないの」と言ふ。お、来たね。そう来なくっちゃ。「そこのおにいさん、だまされてますぜ
 数字で説明しよう…って探して書くのがめんどくせぇな、と思っていたら、今日見ていたIWJのインタビューで、その数字がそっくり出てきた。ラッキー!
 
 参照:IWJ 2014年11月25日 植草一秀氏インタビュー URL:http://bit.ly/20m3CKY

以下のグラフを是非見てほしい。
(ここに貼り付ける方法がわからないのよ、情けない)
財務省「主要税目税収の推移」URL:http://bit.ly/1VZsZU6
 なんと財務省の出している数字から、消費税なんていらないことがはっきり読み取れる。
 
 税金がわからない人のために、おおざっぱに説明すると、個人にかかるのが所得税、会社にかかるのが法人税。

 まず所得税だ。1991年の26.7兆円をピークに、2009年には12.9兆円。2分の1に下がってしまっている。なぜだと思う?
 つぎに法人税。1989年がピークで19.0兆円。2009年には6.4兆円。なんと3分の1だ。なんでかわかる?
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 では真打登場、消費税だ。もうみなさんおなじみ「ウイッシュ」男のおじいさん竹下登が導入した1989年には3.3兆円。これが2013年には10.6兆円。なんと3倍だ。
 
 導入当時の消費税は、所得税の10分の1でしかなかった。それが2014年には、法人税10.0兆円…3位、所得税14.8兆円…2位、消費税15.3兆円…堂々のトップだよ。初めの5倍近いぢゃあないの!

 1989年と言えば「バブル経済」あのころは今より儲かっていた…いまは、お金持ちも減って、会社もたいへんだからじゃない? と思ったあなた、お人よしーッ。
 次のグラフを見てちょーだい。(だれか貼り付け方教えて…スミマセン)

 政府自体が出している数字からも、日本の経済は全体として成長していることがわかる。バブル期のGDPはおよそ40兆円。いまや52兆円近い。1.3倍にもなっている。
 しかし、この儲けはどこへ行っているのだ。少なくとも、うちにはまったく来てないぞ。
 
 20号でご説明したことを覚えてますか。もう一度繰り返します。以下コピー。手抜き、失礼!

(20号より)
 消費税上げて、一方で法人税と所得税を下げ続けてるのを、みなさま御存知ですか?
 26年で取られた消費税280兆円。この間、法人税の減税が255兆円庶民の金がそのままそっくり大企業にかすめとられてるんですよ!
 しかも国の借金は1000兆円を超えてるってのに、企業の内部留保金、つまり社員に給料を払わず貯め込んだ財産、なんと340兆円!ふざけるな!!!!!
 
 所得税も然り。金持ちほど高く払う累進課税って、みなさん学校で習ったでしょ。でも、その最高税率はいま何%か知ってますか。40%ですよ。高いって?ンなわけないでしょ。
 住民税を合わせても最高50%だから、所得100億円なら50億円残る。所得1000億円なら500億円残るんですよ。そんな人いないって?あなた、騙されてますよ。長者番付(高額納税者公示制度)2004年度を最後に、なんでなくなったか、よーく考えてみてください。
(引用ここまで)
 
 つまり、庶民には大増税しておいて、お金持ちと大企業の税金をどんどん下げているんです。これが事実だ。なのに、日本の法人税は高いから下げますよ、来年から消費税は10%にしますよ…って、わーはっは、アホな庶民はなーんにも気付かないー♪。笑いが止まらないぜ…って、ちがうだろ!

 ところで、世の中にはこんな極悪非道がまかり通っている。日本一の大泥棒。泣く子も黙る、輸出戻し税だ!

 日本は自動車やコンピューターなどの輸出で経済を成長させてきた。21号で紹介したように、「ウイッシュ」のじいさん、消費税を導入した竹下登が首相の時には、自動車産業を守るため、オレンジ・牛肉を関税自由化した。ニッポン国は農業を犠牲にして輸出産業を守る国なのよ。

 例えばトヨタが、たくさんの部品メーカーに消費税を払って部品を買う。そして車をつくって輸出する。すると、売ったところが日本じゃないから消費税がもらえない
 消費税は、お客から預かった消費税分から、仕入れの時に支払った消費税分を引いた額を、税務署に収めることになっている。
 そこでトヨタはこう言うのである。預かったのはゼロ円-支払った消費税=支払いっぱなしで損した分。だから、トヨタが税務署に支払うのではなく、税務署からトヨタに返していただきます

 2013年の統計で、トヨタ本社のある愛知県豊田税務署は、1801億円をトヨタに支払っている。神奈川県神奈川税務署は、日産自動車に906億円。東京都京橋税務署は、住友商事に665億円。東京都芝税務署は、ソニーに635億円。税金を取るのが仕事のはずの税務署が、日本を代表する企業から、税金を取るのではなく、反対にせっせと支払っているのだ!オーマイゴーッ!
 
 最悪のターゲットは東京都麹町税務署で、三井物産・丸紅・三菱商事・新日鉄住金などの本社が立ち並ぶため、3118億円もぶんどられている。豊田税務署・神奈川税務署なども、税務署なのに税金の収入が赤字になっている。ムチャクチャだ。
 輸出上位20社だけで1兆円以上も消費税を「もらっている」のだ。これが全国の合計で3兆円を超える。アホか!

 消費税を支払いっぱなしで損してしまうと可哀相だから仕方ないか、と思ったあなた、騙されてますよ。下請けの小さな工場が大会社に部品を納めるときに、消費税が上がった分だけ値段を上げられるとお思いですか。消費税が上がる度に、大会社の担当者から「値段を上げたら、よその工場に頼むからねわかってるよね」と言われて泣いてる姿が目に浮かびませんか。

 消費税制度は、部品を作っている工場から、税務署をトンネルにして、大企業に金を吸い取る装置になっている。

 こんな税金はいらない。いますぐ廃止せよ!

参照:週刊金曜日2013年9月23日号「輸出企業が喜ぶ欠陥税」湖東京至 
   「税金は金持ちから取れ」武田知弘 (株)週刊金曜日 2012年7月
   IWJ富岡幸雄氏インタビュー 2014年12月1日 http://bit.ly/1Qx8k6t
   「税金を払わない巨大企業」富岡幸雄 文春新書 2014年9月