natsuminXポン太郎のガチ同棲日記! -49ページ目

恋人未満その2

うちに帰って着替えて、約束の8時にポン太郎に電話した。




「8時か.....平日だしちょっと出だしが遅いな....」

と今までイイコちゃんな生活を送ってきたワタシは思ったが、この時間だと軽くお茶するくらいかな?、と思いつつコール音を聞いていた。





........出ない...........。







5分~10分置きに何度かコールしたが出ない。





すっぽかされた!?!?!?






.......いやまさか...........。何かあったのかも。







なんて、この時はラテン野郎の時間感覚がどれだけアバウトなものか、日本から移住してきたばかりの時間に正確な日本人、全然分かってなかったので余計なことをいろいろ考えていた。




結局、30分くらい遅れてやっと帰宅したらしきポン太郎は悪びれもせず「仕事が長引いた」と言い、それからダウンタウンの駅前で待ち合わせて、9時過ぎにやっと会えた。
それからポン太郎はワタシを話のしやすい感じの音のウルサくないオサレなバーに連れて行った。




そこで今日のアサミちゃん事件を再び話すと、

「はは、彼女は君に嫉妬してるだけじゃないか。それで何で泣くの?」

と相変わらず、涙の理由がサッパリ分からないという態度のポン太郎だった。




この時に気付けば良かったが、彼にはどうも人としての基本的な感情的反応みたいなのが壊れてるようなところがあり、また人の感情の動きに疎く、理解できないところがある。
人にヘーキで失礼な事をしたり、かと思うと周囲の理解を超えた理由で急激に激怒したりして、彼の脳みその配線はどーもワタシの作りとは違うようなのだ。
昨今は、ワタシが10年かけて修理した甲斐があり、だいぶ理解できるようになってはきている。




さて、そのバーでは互いのプライベートの話になり、ポン太郎はとある南米の国出身で、子供を産んだ女性とは結婚せずに同棲だけだったこと、子供が産まれてすぐ別れたこと、別れた後に自分はひとり父親を訪ねてアメリカに来たこと、まだ母や妹家族(なんと妹はこの時まだ23歳なのに6歳になる女の子がいたのだ)や自分の子供は故郷にいること、などを話してくれた。
彼のステイタスがシングルであるである事は分かったが、シングルはシングルでも故郷の子供や元カノとやり取りがある様子なのでかなりグレーゾーンなシングルだった。
ワタシは別れてまだ半年経ってない元カレの事を語り、酒も手伝ってちょっと涙目になった。
ポン太郎はまたまた、思い出話に涙目になるワタシの事が理解できないようで



「ワ~オ.......君って本当に彼のことを愛してるんだね」



と驚いたように言っていた。




ポン太郎の理解度は良好とは言えなかったけど、アメリカに来てからこっち胸にくすぶりつづけた悲しい気持ちを吐き出す事ができて、ワタシの気分はちょっとラクになり、酒も手伝って饒舌になった。
そして酒に弱いワタシは充分そのバーで酔っ払ってたんだが、飲み足りないポン太郎に2軒目に連れて行かれた。




次のバーではカウンターに座る時に高いスツールによじ登るのがシンドイ.....と感じるくらい酔っていた。
ヤバイな、ビールくらいにして後はやめとこ、と思いながらチビチビビールを飲んでたのに、酔ってたせいで身振り手振りがデカくなってたらしいワタシ、カウンターに置いてあった灰皿に肘が当たってすっ飛ばしてしまい、灰皿はバーのフロアで木っ端微塵に割れた(汗)。
それを拾おうと「あ~ゴメンなさい~」と席を立ってフロアに屈み込んだら、店の人とポン太郎の両名に止められた(笑)。




さすがにヤバイと思ったらしきポン太郎は、すぐにワタシを抱えて立たせると会計を済ませ、表に出てワタシをタクシーに押し込み、自分も乗り込んできた。
そしてそのまま、初デートなのに、ワタシはポン太郎の部屋に連れ帰られてしまったのだ!





つづく~~~。



恋人未満その1


こんにちわ~。
そんなに読者もいないであろう当ブログ(笑)、更新ノロめで更に読者を逃してます。
マメじゃないんでー。
週に1,2度てな感じでこれからも更新、多分するだろうと思われますのでヨロシク。





さて、これから先日の続き~。
ポン太郎と「ハイ」フレンズになったもののそれ以上にも以下にもならず、学校でも同じクラスにいなかったので偶然学校内でバッタリ会う以外は会う機会もなし。
といった恋愛に発展しづらい状況のまま何の努力もせず、他のアプローチしてくる男性もやっぱりイマイチ食指が湧かずに放ったらかし、相変わらず日本に残してきたオトコを想ってメーメーとひとりで泣き暮らす冴えない日々を送りながら学校に通い続けてたその頃....。


募集をかけたランゲージエクスチェンジパートナーも何件もの応募があって、その中のひとりのアメ人男子と会うことになった(ちょっと前回と話が前後して、失礼)。
その日はワタシに募集チラシ作りのアドバイスをくれた学校内で最初に知り合った日本人、アサミちゃん(仮名)を一緒に連れて行くことにした。
ま、初対面なんで女子ふたりになってセキュリティ強化して行ったわけっす。
その日のワタシ、スカート履いてた。ロングスカートじゃないけど、膝丈くらいの。
アサミちゃんは楽しそうに私とアメ人男子の間でいちばんよく喋り、一緒にベルギーのフライドポテト屋さんに行き、その後コーヒーを飲み、キャッキャとはしゃいでる....ように見えた。


そしてその翌日、突然怒り狂ったアサミちゃんから電話がかかってきた。
な、なんで怒ってるの???と訳が分からなかったが、彼女はワタシの態度がまるで男を誘ってるようにしか見えないと言い張ってカンカンだった。
えええー。そんなん言われた事ないよー!普通に喋ってたのに!なんで!?ビックリ!
よくよく話を聞いてみると、初対面のアメリカ男に会いに行くのにスカートを履いてるなんてもってのほか!無防備すぎ!愛想もいいし誘ってると思われても仕方ない!相手もにやけてた!etcetc.
というような話で、ひと晩明けて急にムカついてきたのか、とにかくえらい勢いで怒ってた。
その場では全然気分を害してる風には見えなかったのになんでまた急変したのかよく分からなかったが、激高しているうちにだんだん落ち着いてきたのか、


「とにかくここはアメリカなんだから。私はnatauminちゃんの為を想って言ってるの。気をつけなきゃダメだよ!」


と説教調に変化し、ワタシも何となく納得できないまま、は~いと返事して電話を切った。


アサミちゃんとは、例のワタシにアプローチしていたスペイン人男子と友人になり、その3人で何度か出かけたりしていた程度には外でも会っていた。
スペイン人男子は寒いと自分の上着を脱いでワタシにかけたり、アサミちゃんをひとりで帰してワタシを家まで送ったり、と女子が2人いても何かとワタシの方を主に気にかけたが、それはワタシに好意があるから当然そうするのであって、誰にもどうしようもない事だし仕方なかった。
でもそう軽く考えてたのはワタシだけで、アサミちゃんは心の中で、多分ワタシに対する黒い気持ちを膨らましていたんだろうと今では思う。


そんなある日、新入りの日本人女子から忠告を受けた。
この新入り女子も相当変わっていてその後いろいろあったので、後に出て来る人としてクミコちゃんと命名(全て思いつきで、本名とは全くカスりもしない名前っす)。
クミコちゃんの言うには、アサミちゃんはワタシと普通の友達付き合いをしてるようでいながら、陰でワタシのことを相当な遊び人女みたいな事を言ってる、らしかった。


もー、ビックリだよ。ビックリ。
普通にちょっとデートに誘われたり、気になる男の子がいたりもする日常だけど、実際は日本の元彼を想って毎日泣き暮らしてるだけって話もしてたのに!
何をどうやったら、ワタシが遊び人女になるのか、皆目見当もつかないじゃん!
思い当たるのは、ランゲージエクスチェンジパートナーに会いに行った時にスカートを履いてたって事と愛想が良かったって事で彼女が怒ってたのと、一緒に出かけてたスペイン人男子がワタシを好きであるのが傍目にも明らかだった、ってそれだけ!


しかも、ちょっとした作り話で脚色もされてた。
ワタシの素行をアサミちゃんが諭し、ワタシが泣きすぎて吐いたってストーリーを聞いて、本当にビックリした。
確かに説教されたけど、話したのは電話でワタシは終始キョトンとしてたし、確かにアサミちゃんの目の前で吐いたことあるんだけど、それはアサミちゃんがうちに遊びに来た時に一緒に飲んだコーヒーが変なところに入ったのか、むせすぎたワタシがゲロしちゃったの。
その時は「こんな人見たことない、おかしーっ」って大笑いしてたアサミちゃんなのに。


アメリカに来てから初めて出来た日本人の友人だと思ってた人が、陰でワタシを嫌って他の人に悪口を言ってた。
それは泣き暮らしていた孤独なワタシにとって、物凄いショックなことだった。
アサミちゃんが気に入ってた、ブックストア兼カフェの店員さんの男も一緒に見に行って、彼を攻略する方法を一緒に考えたりもしてたのに......
でもあの時の彼の様子では攻略は難しそうだったので、彼女もその頃イライラしてたんだろうか。
しかし.......


脚色された事実無根の陰口の事実をクミコちゃんから聞いて動揺しきったワタシは、午後の授業を取り止め、混乱した気持ちを抱えたまま早々に学校を去ろうとしていた。
そこへ今から午後クラスに出るポン太郎がやってきた。
そしてワタシの姿を見つけるとそばに来て、ニコニコして「He~y」と話しかけてきた。
が次の瞬間、ワタシの目の中に涙が土手っぷちまで溜まっているのを見ると彼の顔がギョ!っと変化。

「ちょっとちょっと、こっちにおいで」

と隅の方にワタシを連れて行って

「どうしたの?何かあった?」

と聞いてきた。


動揺して感情的になってたし、英語はまだ下手だったし、ワタシの話した手短かなストーリーがポン太郎にどれだけ理解されたのかは分からない。
そんなことで泣くの?あらあら。って感じに子供扱いされた態度で聞かれたように思う。
それが余計悲しかったし、堪えた。
ポン太郎はあとで話聞いたげるから今夜会おうよ、とワタシに電話番号をくれた。
そして、今日はバイトしてるけど夜8時頃なら帰ってるから電話して、と言って去っていった。


怪我の功名で思いがけず、2人きりで会うことになってしまった。
アサミちゃん事件で傷ついて混乱していた気持ちのまま、ワタシは予期せぬ初デート発展に更に動揺し、混乱しきったまま、とりあえずうちに帰ることにした。


つづく~。

出会いその2

ワタシがひとりになった途端、チラリチラリとこちらを気にしていたポン太郎がすぐに近寄ってきた。


「Hi, 僕はポン太郎。何書いてんの?」
「Hi....., natsuminです。英語勉強しようと思って、ランゲージエクスチェンジの募集チラシ作ってるの」



この時は、ポン太郎のクラスまで相談しに行った日本人女子がしばらくトイレから帰ってこなくて、家族構成とかに至るまで自己紹介し合うことになった。


「この学校に来る前に語学学校に行ってて、そこで出来た日本人の友達がたくさんいるんだ....僕の親友の男の子は日本人なんだよ」


とニコニコ語るポン太郎。
この時は奴が所謂「アジフェチ」、アジア女子好きだってのはまだ気付かなかった。




彼はお尻のポケットからゼブラ柄の財布を出して、中に入ってた小さい写真とプリクラだらけの小さな小さなプラスティックのファイルみたいなものを見せてくれた。
中にはまだ5,6歳の女の子と、小さな赤ちゃんの写真がいっぱいあった。
10代と見まがうポン太郎だったが、まさかと思いつつワタシはカマかけで


「この子達ってあなたの子供?」


と思い切って何気なく聞いてみた。
ちょっと逡巡したポン太郎は、恥ずかしそうに女の子の方を指さし、

「これは、僕の姪で.....」


と言って間を置き、赤ん坊を指さして








「こっちは僕の息子」





と言った。






はうっ!?( ̄ロ ̄lll)









け......結婚してるのか?こんなベイビーフェイスで?
しかも息子?子供までいるっ。
どー見ても自分が子供みたいなクセっ!




ワタシの新しい出会いへの期待は頭の上でパンパンに膨れあがった直後にガラガラガラと音を立てて無惨にも崩れていった。
でもそんな気配を微塵も出さず、フツーに友好的に会話を続けた。


「へえ、あなたお父さんなのね。信じられない」


彼は恥ずかしそうに目を伏せて笑っていた。




「子供はいくつなの?」


「2歳だよ」



その頃、ワタシにも4歳と1歳の姪がいたので


「ああ、いちばん可愛い年頃だね」


と言ったら、ポン太郎はクシャクシャに相好を崩して


「Yeah~~~」


と嬉しそうに笑った。
あ、こりゃダメだ、家庭人だわ......と感じた瞬間だった。


「でも子供は母国にいるから、もう何ヶ月も会ってないんだ」

「そう.....子供と会えなくて淋しい?」

「うん、とってもね」



と顔を曇らすポン太郎。
付け入る隙なし。
ハイ出会い消滅決定!!!






ワタシは最初に交わした会話で、ポン太郎を速攻諦めた。
そして、その後は学校のどこかで会う度に


「Hi」


と言い合い、ちょっと話すだけの「ハイフレンズ」状態がひと月続いた。
実はその間、彼のワタシに対する興味はかなり感じていたものの、彼が結婚してるのか独身なのか、彼女はいるのかというステイタスがイマイチよく分かってなかったので、家庭があっても他の女にチョッカイを出せるお国柄の人なのかも知れない.....と一定の距離を置き、ワタシからは全く彼への距離を縮めることはなかった。
そうしてそうこうする間、クラスメイトのスペイン人男子に好意を寄せられて試しに何度か出かけたり、ランゲージエクスチェンジの相手である日本語を学ぶ大学生男子と会うようになり(こちらは全く色気抜き)、ボチボチ友達も出来て忙しくなってきたが、相変わらず心の中は日本で別れた元彼のことでいっぱいで、ひとりになると毎日のように彼を思い出しては泣いていた。




そんなひと月後。
ポン太郎とワタシの距離を一気に縮める事件が勃発した。