7月のある日、NYに住む幼馴染から突然LINEで連絡がきた。
2日後に帰国するので、もし新発田(私の故郷)に帰省することがあれば連絡をください、と。
彼女とは幼稚園から一緒だった。小学生の時、BEATLES やCarpenters などの洋楽を聴いたり、PEANUTS BOOKS(SNOOPYの英語版漫画)を好きになったのも彼女の影響だった。
NYに住んでいることは知っていたが、高校卒業後は特に関わることもなくそれぞれの人生を歩んできた。
LINEを見て、無性に懐かしくなり会いたくなった。
帰国してすぐ、成田で会うのはどうだろうかと予定を立てた。
空港で45年ぶりの再会、何だか考えただけでワクワクする。
しかし結局飛行機が遅れ、再会は叶わなかった。
数日後、故郷に帰った彼女からまたLINEが来た。
同級生何人かで集まった時に今回会えなかったことを話したら、皆会いたがっていると。
「会えるのを楽しみに待っています!」と。
私はずっと故郷に帰るのは数年に一度、何かがあった時くらいで、ふと帰ろうと思って帰ったことは無かった。帰っても昔の友人と会うということも無かった。故郷を思うと、懐かしさはあるものの、少し影が射す感じがするのだ。
それが、故郷で私を待っていてくれる人がいる?と何だか今までにない感情が湧いた。
そしてまた彼女からLINEが来た。
「こちらも蒸し暑いですが、夏の山々が力強く盛り上がったように迫って来て素晴らしいです。
今度新発田に向かう時は白新線の進行方向右側に席を取って、山の景色を楽しんで下さい。
私の大好きな風景です。」
その後、急遽帰省することになり、新発田の町が近づいたあたりで、言われた通り車窓からの風景に目をやった。
びっくりするくらい美しかった。
こんな風にこの風景を見たのは初めてだった。
翌日、彼女と同級生何人かと再会した。実に45年ぶり、いやそれ以上の人もいる。
彼女は面影そのままで、話し方も仕草もちっとも変わっていない。
話をしているうちに、確かに私はこの町で日々を過ごしたのだと次々に記憶が蘇ってきた。
自分史という巻物があるとしたら、くるくるとほどいて、その時代の自分に光を当てて見ている感じ。そしてその時代を共に過ごした友が今ここにいる。
皆がびっくりするくらい優しかった。
彼女のおかげで、ずっと抱いていた故郷への思いがほどけた気がした。
この夏の贈り物。
