風街レジェンド 大瀧さんのかたまり | ・・・の続き

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エヴァ・オーリンも、ペ・ドゥナも、まとめて好き。

シューベルトの「冬の旅」のあと。
スクリーンに、リゾートの写真。カラー。来るか。次くるか。通路歩いているひと、ちゃんとあの画像みて察しようね。と妙な緊張があり、スクリーンに映し出される大瀧さんの言葉。

松本隆にとって大瀧詠一は共作者のひとりにすぎないが、大瀧詠一にとって松本隆は共作者と呼べるただ一人の存在である。

そして弦のチューニング。来る。来る。ドドドドドドっと「君は天然色」ボーカルは伊藤銀次と杉真理。銀次さんは大瀧さんを意識しているのがわかる。甘い高音を出そうとしている。杉くんはチカラはいって時にふわりとする声。演奏・アレンジがほんと忠実再現(もちろんレコーディングメンバー多し 弦はふたりでもいい感じ)でそこにも感動し、ボーカルのチカラの入りにも感動する。ホールで聴く「君天」 感慨。客席もチカラが入っていたと思う。そして銀次さんから、松本さんの日本語 はっぴいえんどに影響され音楽を志そうと思った話、「ナイアガラの一員としてきました」的なご挨拶。「風街」に乗り込みました的な宣言に聞こえた。杉くんは君天への思いのなか、須藤薫さんのお名前も出し。想いをいっぱい込めて歌ったとのこと。君は天然色、いい歌だなあ。

そして佐野元春を呼び入れ、伊藤・杉・佐野の「ねじれトライアングル」 佐野「B面もいいけど、恋をするなら・・・」とかなんとかいつもの調子で。そして「A面で恋をして」へ。この歌の3人のパートの歌詞がほんとうに好きで。大瀧さん・杉くん・佐野くん。それぞれの男の恋へのとらえ方・キャラが的確すぎる、見事な詞。三人本人よりも、本質(推定)を見抜いているかのような作詞家、松本隆。おそろしい。くどいけどほんとこの歌、好き。佐野くんの「今夜君を帰さないさ」のあのフレーズの声に18歳のわたしはやられ、以後佐野くんにぼーっとなった人生である。まさかそれを観る・聞くことができるなんて。風街レジェンドの出演者発表でほんとちょっとネジ飛んだ。佐野くんの声はちょっと本調子ではなさそうで、控えめな声量でスタンドマイクに食らいつく。当時、三人のハワイ旅行の様子をFM雑誌で読んだ。一番若い佐野くんがヤシの樹に登ってふざけていた。やんちゃキャラだったのだ。だからドライブウウウウウだ。なつかしい。ありがとう。ありがとう。松本さん四十五周年ありがとう。結局はそこになる。

大瀧さん繋がりで、鈴木雅之「Tシャツに口紅」これもうっとりする演奏と歌声。ギラギラの鈴木さんはほんとうにステージを魅せる・聴かせる力量がすごかった。あの数分、世界は「ラブソングの王様」軸に回っていた。エンターテイナー。機会があれば鈴木さんのライブ行きたいと感じる。ラストはほんとにカモメが空飛んでいったかと錯覚するくらい、歌詞と声とスクリーンと融合して「生」って良い。この歌がなかったら、「オールディーズバンドに終わっていたかもしれない。」的なトーク。
「冬のリヴィエラ」これがものすごく良くてね。シングル出せばいいのに。歌詞もものすごく響き、景色とドラマをみせてくれる。また何度でも聴きたい。ライブ終わった23時すぎの有楽町界隈で「リヴィエラ リヴィエラ」という声をいくつか聴いた。歌が上手いっていいなあ。

またまた大瀧さん繋がりで「バチュラーガール」「恋するカレン」稲垣潤一。バチュラーガールはちゃんと雷鳴ありだった記憶。稲垣さんは、声はあのキーの高音だけど歌い方がちょっと粘ってたかな。雨のしずくをモチーフに歌詞の一部がスクリーンに踊る。バチュラーもカレンも情けない男の歌なんだけど、女もあるある。どっちもせつないせつない。あるあるあるある。トークは大瀧さん絡みのお話と「歌詞の中の情けない男はぼくのキャラクターなのか松本さんに聴きたい」と。

大瀧さんの時間。大瀧さんへの時間。大瀧ファンへの時間。松本×大瀧作品の詞とメロディの密着度、濃さ。それらをかたまりで投げつけられた感じ。いつも聴いているからわかってはいたものの、キラキラした歌唱でリスペクトと緊張を携えて目の前で歌われると「ほおお」と感嘆することしかできない。そこには存在しない「歌声」を想像する時間。粋な愛情。
わたしの世代の「リゾート感」はロンバケとユーミンが作った作品の影響が濃い。「失恋感」もそうか。価値観の一部を握られているのだ。逃げ出せない、どうにも。

スクリーンに都会の映像が映し出され、南佳孝さんへ。