あの日から何日経っても電話は鳴らず、ただただ時間が長く感じた。齢12にしてあんなに死んだ目をしてる女の事で頭がいっぱいだった。

家の場所は楓に聞いて知ってるが・・・急に張り込んで待ってて逃げられると流石に傷つくし。さてどないしよう。

「お呼びですか」

俺は俺と親父の付き人をやってた信を呼び出して経緯を説明した。田舎やけどどうにか騒ぎにならんように身を隠しつつ菜央の身にどんな事があるのか探ってきてほしいと。

「畏まりました」

これで状況知って、そこから突破口を掴んだらどうにか付き合える方向に持って行けるんちゃうかな。

数日後、信から連絡があった。

「どうせ貴方はこちらに来るでしょうから、ここでお待ちしております。実は・・・」

教師にレイプされてる?同級に性的嫌がらせ受けてる?最近のガキはどうなってんねん・・・
ついでに家庭環境も、父親が菜央を溺愛してるから母親が嫉妬していて、それなのに父親は夜中にならないと帰宅しないから基本的に不仲の母親と過ごさなくてはならないと。

(拉致った方がええやろか)

「それはおやめください。流石に普通の家庭の普通の一般人に手を出すと、俺でも誤魔化すのは無理です。」

解っとるし。
とりあえず親父と那津に5日程家を空けると伝えて、不安そうな顔をしとる那津に、次行く時はお前も連れていくからと約束して、俺は高知に向かった。

待つのは苦手やねん。
いくら待っても帰ってきいひんかった母親を思い出すから。

この辺からあれやねん。菜央の過去話では俺の行動だいぶ柔らかく書いてくれてるねんけど。
実際はバイクで会った時菜央の首を掴んで持ち上げた、何で電話してこんかったか聞いた。そこまでは合っとる。
その後その体勢、首掴んでつま先立ちまで引き上げた状態のまま「俺と付き合お?まぁ断ったらこのままバイク走らすけどな」と言うた。
死ぬか付き合うかの二択って・・・自分の言動ありえへんな。まぁOK貰ったけど。
でもこれ、よくよく考えたら、俺と付き合ったら那津に命狙われるって俺は知っとるのに、よくもまぁ・・・と俺自身の浅はかさに虫唾が走るねんけど。

俺は、楓が俺に妹の話を持ちかけた時、その顔を見て確信した。あ、こいつ妹に惚れてるから彼女作らへんのか。と。
いつもなら協力するんやけど、那津が昔、女に惚れた時も割と協力してたし。何やろ。俺は、絶対これ読んだ菜央に「はあ!?」って言われるやろうけど、俺は俺で一目惚れしたんやろな。
それ以外に、ここまで執着した理由が見当たらへん。一目惚れしてたと言うたら笑う?

ま、とりあえずその時付き合うことになって。そんなに行ったり来たり出来へんかったからその次の次くらいに那津や愛理や弘也を連れていった。楓や信はそれより後やったし、梓はそもそも俺が拾って信に預けて、信が那津の付き人するようになったくらいやったよな?多分。
まぁとりあえず初めのグループで那津連れていったんは確かや。てなわけで那津、よろしく。