北海道で出会った感動的な風景や

 

動物たちのこと

 

まだまだ書きたいことはあるけど

 

そちらはまた後日、ということで

 

 

 

 

 

 

 

 

今回はこの記事の続きになります

 

 

 

 

 

 

 

5月に行った、さいとう読書室

 

このころの自分をよく覚えている

 

もやがかかっているかのように

 

視界があやふやで

 

 

 

 

進む方向もわからず

 

目的もはっきりとしないまま、

 

ただ写真というものに触れたくて、

 

何かを解りたくて、

 

アンテナに引っかかるものすべてを

 

体験しようとしていた

 

 

 

 

そして、清水裕貴というキーワードに

 

引っ張られて訪れたこの場所で

 

もうひとりの写真家、

 

金川晋吾さんに出会うことになる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このひとの写真集を、

 

以前どこかで見たことがあった

 

「あっ、このひとが撮ったんだ」と思ったのが

 

第一印象

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、東京から戻って

 

すぐに取り寄せた金川晋吾著『father』

 

冒頭のページに載っている手書き文字は

 

作家自身のものかと思いきや、

 

後から彼の父による

 

失踪前の走り書きだと知る

 

 

 

 

この写真集の構成がユニークで、

 

前半はひとり暮らしの父を

 

リアルに撮った写真が集められており、

 

突然それがぶつりと終わって

 

同時期に綴られた作家本人の日記が

 

後半を埋め尽くす

 

 

 

 

それにより、

 

前半の写真から受け取った印象が

 

変化する

 

作家自身が父親に

 

相当振り回されていた日々であったこと

 

床に落ちた犬の毛の写真にも

 

特別な意味があって撮られたことが

 

解ったりする

 

 

 

 

そして、

 

さらに日記のなかで放置されていた

 

作家自身の煩悶

 

『(前略)特に撮りたいイメージがあるわけではない。

 

父を撮影することが、

 

一方的な搾取のような気がして罪悪感を感じてしまう』

 

 

 

 

そう綴った次の日に

 

コンタックスT3が父に手渡されることになるが、

 

これで毎日、自分の顔を撮って欲しい、との依頼に

 

『父は特に嫌がることなく了承したが、

 

「忘れてしまうかもしれんぞ」と言った』

 

 

 

 

そしてまた、10ヶ月分の日記も

 

すっきりとはしないまま、

 

ぶつりと終わりを迎え、

 

 

 

 

その後、収録されているのが

 

毎日撮られていたと思われる

 

1500枚以上にものぼる

 

父の自撮り写真であった

 

 

 

 

一冊を読み終えたら、

 

まるで一本の映画を見終えたような

 

感覚に陥った

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

さて、

 

そんな風に写真集をじっくり読んだのは

 

後日であったため、

 

この日初めてお会いしたときには

 

金川氏について、ほとんどわたしは無知であった

 

 

 

 

清水氏や金川氏に対し、

 

「立派な受賞歴を持つ写真家」感をひしひしと感じて

 

わたしはしばらく蚊帳の外でぽつんとしていた

 

 

 

 

が、トークイベントが終わると

 

その素敵な空間で夕べの宴が始まり、

 

ワインやアルカルト、スイーツなどが振る舞われ

 

あちこちで人の輪ができ始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

haruさん

オレンジのタルトを撮る

 

 

 

 

読書室の中央の椅子に、

 

金川氏が座って談笑していた

 

わたしはトークイベント中からずっと気になっていた

 

大きなどピンクのバッグを

 

何度もチラ見していた

 

そしてとうとう、我慢できなくなって

 

「この素敵なバッグ、撮らせてもらっていいですか?」

 

と、声をかけてしまった

 

 

 

馬鹿なんでしょうか?笑

 

 

 

 

そしたらなんと!

 

金川氏がうれしそうに

 

「ボクがモデルになりましょうか?」

 

と言うや否や、その場で

 

ポーズをとり始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うわ〜〜〜〜

〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜!!!

 

 

 

うれしいけど緊張するけど

 

うれしすぎる!!

 

 

 

ちなみにわたしのカメラは

 

9年も前に購入した大きな一眼レフで

 

レンズはマニュアルだ

 

 

 

次々にポーズを変える金川氏に

 

必死に着いて行く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後はどこにもピントが合ってない1枚になったが

 

いい表情が撮れて満足

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めちゃくちゃ楽しかった

 

笑いながら撮ってた

 

ほんの数分間のセッションであったのに、

 

ポートレートの楽しさに

 

すっかり目覚めてしまった

 

 

 

 

「これから何を、どう撮ろうか」

 

そんなことで頭がぐるぐるの日々を

 

過ごしていたのだけれど、

 

この強烈な撮影体験の前に

 

そんなものは一切吹っ飛んでしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『自分が面白く撮ろうとしなくても、人っていうもの自体が「妙」なので、できるだけそのまま撮るということを

やったほうがいいなと考えるようになりました』

 

 

こちらのインタビュー記事より引用

 

 

 

 

 

長い年月、作品と向き合ってきた

 

金川氏のことばは

 

柔らかく深く、突き刺さった

 

 

 

 

天に感謝した日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この写真が一番のお気に入り

 

ありがとうございました

 

 

 

 

 

 

 

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本日のBGM

 

Clairo「Pretty Girl」