寄り合って

テーマ:
朝霧
降り積もる落ち葉
凛とした空気
ひっそり咲く野の花達
日に日に変化していく家周りの山々
収獲を終えてしんとした田畑
  
夕暮れ時が早まり、
暗闇にかまどの炎が目立つようになった。
  
静かに流れていく秋から冬に向かう日々は、
寂しさと美しさが同居している、私の好きな季節。

 

 

 10月末日の初霜以来、温かい日が続いている。

 

今年は2反以上ある大豆の収穫が例年より早まり、

早々に終わったのはよかったが、

その分他の畑の収穫が遅れ、

夏野菜の片付けもまだ終わっていない。

 

本格的な寒さがやってきて、強い霜が降りるようになるまでに、

あちこちにまだ残っている収穫を終わらせて、

荏胡麻と大豆の脱穀までたどり着きたい。

 

 

 

 

この日は落花生の収穫。

 

落花生は実を取って洗って乾燥させておけば1年もち、

お客さんのお酒のおつまみとしても喜ばれる。

 

子ども達が焼くパンやクッキーに活躍するだろうし、

Fuによるとアフリカ料理では落花生がよく使われるらしいので、

余分にあれば目新しいものを作ってもらえるかも・・・♪

 

ということで、今年は沢山育ててみたら、

意外と収穫に手間取ることに気づいた。

 

この日もせっせと株を抜いては、プチプチ実をとっていたところ、

「ちょっとだが寄り合うぞ。」

「いつももらってばっかじゃ悪いでな。」

と畑の上から声が。

 

見上げると、その畑の上の家に暮らしているイツエさんと

もう1人のご近所さんが、並んでこっちに向かってくるところだった。

 

始終腰が痛い、腕が痛い、坂道を歩くのがエライと話すのを聞いているし、

1人暮らしの彼女達に分ける分、と言ってもしれた量なので、

これまでは声をかけられても断っていたのだが、

この時は片手には籠をもって、

「しゃがむと腰にくるで、腰掛も持ってきた。」

とクッション的なものも小脇に抱えて準備万端な姿。

 

断るのも自然ではないような気がして、

じゃぁよろしくお願いします、と作業に入ってもらうことにした。

 

 

「この落花生は、茹でて食べるとホントにうまいな。」

 

「食べだすと止まらんよな。」

 

「食べた分は採ってやるぞ。」

 

「これからもらう分もな。笑」

 

どうやらこの落花生、

2人の間で人気なお茶請けになっているらしい。

 

(畑に向かう途中の道。)

 

 作業をしながらの会話は、

落花生から夕べ食べたさんまに移り、

そこから大根おろしへ、

そのまま今年の大根の出来具合からおでんが食べたい話になり、

おでんからコタツ、コタツから火の元、

そこからしばし随分昔の火事の話へ飛び、

さらに昔話つながりだったか、数十年前の旅行話へ、

その後はまた急に現在に戻って、散歩で見かけたカエルの話、

そのカエルがまた過去を振り返るきっかけになって、

それからしばらくは自分達の兄弟や自分のお姑さん話・・

 

現在過去未来、見たこと聞いた事、

あちこち自由自在に話が飛んでいき、

都度都度笑いがあって面白い。

 

途中で話題が変わって宙ぶらりんになった話も、

また全然違う事から再びつながって戻ってきたりするので、

話が途中で途切れても、あれ??と気にせず会話についていく。

 

最近は私まで「そういえば」つながりで話を変えていくのが

上手くなってきた 笑。

 

 それにしてもじっと1つの作業をする、

ということに慣れている彼女達、

口は常に動き続けていても、手はきちんと動いていて、

しかも仕事は手速く、的確で丁寧。

 

その辺は見事だなと思う。

 


 

 「寄り合う」というのは、ひと所に集まることを指すのかと思っていたが、

ここではこのように
いっしょに作業をする意味も含んで使われることもある。
 
道掃除などの地域作業でなく、
個人の作業であれば遠慮があるものの、

こうやって入ってもらった時は助かるし、

逆にこちらから声をかけて助かった様子が解ると、
単純に嬉しい。

 

またこちらとしては、

幼い頃から作業慣れしている地元の人といっしょに動くと、

無駄のない身動きや段取り具合、

使っている道具の良さ、仕事の丁寧さなど、

学ぶことは沢山ある。

 

いっしょに汗を流すことで関係も縮まる。

そのことも嬉しい。

 

 

 普段、畑作業は1人なことが多いので、

3人だと進みも速く、時間もあっという間に過ぎた。

 

そうだ、彼女達は腰や腕にくるんだった、

疲れるのもはやいんだった、ということに気づいたのは、

いっしょに作業を始めて小一時間たった頃で、

そういえば彼女達のいつものお茶の時間もとっくに過ぎていた。

 

残りはあと20株ほどになっていたが、

別の作業をしたいと話して、ここは終わりにすることにした。

 

畑の真ん中で分厚いクッションに座っていても、やっぱり腰にきたようだし、

2人ともちょっと疲れた顔をしていてシマッタなと思ったが、

助かったしかなり進んだ、とお礼を伝えると、

 

「これで食べた分は採ったぞ。」

「もらうばっかじゃ気が引けるで。」

「動けるうちは、また寄り合うでな。」

と、笑顔といっしょに返事がかえってきた。

 

(収穫した落花生は沢水で洗って泥を落とし、網に広げて乾燥させる。)

 

 

 お茶の時間、ザル山盛りに茹でた落花生を

2人はおいしいおいしいと、モリモリ食べていく。

 

私も少し頂戴したが、

塩気がしっかり効いていて、

茹で加減が私がするより柔らかめで

ナッツというより栗みたいで美味しかった。

 

それにしても、

いくら「テレビで落花生は健康にいいって言ってた」

としても、こんなに食べてもいいのかなぁ? (笑)

 

などと思いながら、

目の前のお山の紅葉といっしょに、彼女達と過ごす時間を

この日も楽しんだ。