獣医学科に通う子供が意外な話をしていた。

 浪人生の中に、意外と農業系高校や総合学科などの出身者がいるとの話だ。

 

 農業系、工業系など専門性の高い高校は就職する学生が多く、また、専門科目の授業が多いため、一般入試には向かない。

 一方で、もし、入試を突破できれば、同じ専門分野なら3年間もの蓄積があるので、大学入学後の専門分野の成績は目を見張るものがある。

 

 例えば獣医学科の場合、動物が好きで高校では畜産科に進み、大学に入る時に浪人して、受験に必要な科目を覚えて入る、最初から浪人前提の受験スタイルで入ってくるのである。

 

 確かに、自分が子供の頃、農業系高校は少し特殊で、何か目的意識を持って進学する学生が一定数いた。

 工業系高校の場合は、意外に「偏差値との折り合い」という都合で行く学生が圧倒的に多かった。

 自分の回りだけだったかもしれないが、工業高校に進学する学生で、「こんな機械を作ってみたい」そんな、何かやりたいことがあって進学する学生は皆無だった気がする。

 一方で、農業系には、一定数、したい事があって進学する学生がおり、その学生たちがもしかしたら、浪人前提に獣医学科に進学しているのではないかと思う。

 

 そして、もう一つ意外な事を言っていた。

 獣医学科の各校で、偏差値的には近い酪農大、北里大、岡山理科大の3つで、模試などでどこかA判定やB判定が出て、さらに本試験でも、酪農大合格、北里大補欠、岡山理科大合格と言った具合に、複数の大学の合格を持っていた学生が多いと言っていた。

 

 すなわち、酪農大だけとか、岡山理科大だけしか合格していない学生は少なく、複数合格する学生が多く、1つしか合格していない学生が少ないと云うことは、この3校のレベル感が極めて似ているのかもしれない。

 

 現役合格が3割~4割しかいないので、浪人当たり前の世界。

 だから、専門高校を出て、浪人して獣医学科に入るというロジックが成り立つのかもしれない。

 

 一方で、一般の国公立大学、東大まで含めても浪人生は年々少なくなり、東大文Ⅰでは、1996年で現役6割、浪人4割だったのが、今では8割が現役に、最高峰の理Ⅲは1996年63%が現役だったのが、2024年に現役比率84.7%を記録した。

 

 ちなみに、獣医学科がある東大理Ⅱは、唯一、今も、昔も現浪比率は6割対4割で安定している

 また、ひとつ、自分の知らない受験戦略をこの夏、知ることとなった。

 

 子供の学年が進むにつれ、色々な人と話をするようになり、奥が深い、獣医学科進学の受験の世界を感じるのである。

 

 


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