学びの場に参加しているのに、なぜか成果を持ち帰れない人がいます。同じ講義を受けているはずなのに、成長に差がついてしまう。そこには、はっきりとした理由があります。それは「教わる側の姿勢」です。

 

まず典型的なのは、受け身すぎる人。ただ椅子に座り、講師の言葉をノートに写すだけ。これでは学びは「情報のコピー」にすぎません。行動に移せなければ、知識はやがて記憶から消え、何も変わらないのです。

 

次に、質問をしない人。分からないことをそのままにして帰ってしまう。実は講師からすれば「質問がない」という状態ほど寂しいものはありません。質問が出ないということは、聞き手が深く考えていない証拠だと見えてしまうのです。

 

さらに、講師に与えるエネルギーを軽視する人も損をします。学びは一方通行ではなく双方向のやりとりです。頷き、リアクションし、感想を伝えることで講師は力を増し、内容もより具体的になっていきます。逆に無反応な受講者には、講師も「響いていないのかな」と感じ、熱量が落ちてしまう。結果的に本人が一番損をしてしまいます。

 

加えて多いのが、「知っている」と早合点する人です。話の途中で「それ知っています」と遮る。けれど実際は深く理解していなかったり、応用できていないケースがほとんどです。謙虚に最後まで耳を傾ける人と比べ、得られる学びは大きく減ってしまいます。

 

ここで私が強調したいのは、成長をもたらす学びの場には必ず“緊張感”があるということです。私自身が今、多くの場で評価をいただけているのは、緊張の中で鍛えられた力があるからです。たとえば、今では何百人の前で講演しても揺るがない。その背景には、受講者の立場で講師の質疑応答を見ながら、「自分ならどう答えるか」と常に自らを緊張にさらし続けてきた積み重ねがあります。緊張感は学びを痛みと共に刻み、単なる知識を実力に変えるのです。

 

私が数多くの学びの場に参加して痛感するのは、成果を持ち帰れる人とそうでない人の差は、教わる姿勢と緊張感の有無だということです。まったく同じ話を聞いても、能動的に考え、緊張感を持って聞く人は必ず行動に移す。受け身のまま安心ゾーンにとどまる人は「いい話を聞いた」で終わり、現実は何も動きません。

 

つまり「損する人」とは、受け身・無反応・早合点・独り占め志向、そして何より“緊張感を持たない人”です。逆にこれらを手放し、緊張を歓迎できる人だけが大きな成果を得られるのです。

 

学びの時間は有限です。せっかく貴重なお金と時間を投じて参加するなら、ただ聞いて終わるのではなく、自分を緊張の場に置き、未来を変える学びにしてほしいのです。