前回は「話が長い」と言われてしまう人の共通点について触れました。背景説明が長すぎる、情報を整理しないまま話す、最後に結論がぼやける──これらが原因で、聞き手にストレスを与えてしまうのです。
では、どうすれば「分かりやすいね」と言われる話し方に変えられるのでしょうか。ここでは誰でも実践できる3つのトレーニング法をご紹介します。
第一の方法は、「結論先出し」の練習です。
どんな話でも、最初の10秒で結論を言ってみる。たとえば「今日は新しい提案が2つあります」「結論から言うと、この方法が一番効率的です」といった具合です。聞き手は結論を先に聞いて安心し、その後の説明を落ち着いて聞けるようになります。
第二の方法は、「PREP法」を意識することです。
PREPとは、Point(結論)→Reason(理由)→Example(事例)→Point(再結論)の順番で話す技法です。話の順序を決めておくと、余計な脱線を防ぎ、簡潔に伝えられます。特に会議やプレゼンの場で効果的です。
第三の方法は、「1分スピーチ」を繰り返すことです。
身近なテーマで1分以内に話す練習をすると、自然に要点を絞れるようになります。スマホで録音して自分の話を聞き返すと、「無駄な言葉が多い」「結論が弱い」といった課題が浮き彫りになります。プロのアナウンサーも短い時間で要点を伝える練習を欠かさないのです。長さの違う喋りを録音し、1分の長さに収める訓練をしてみるのも有効です。
ここで大切なのは、トレーニングを一度きりの「やりっぱなし」にしないことです。毎日の会話や朝礼、雑談など小さな場面で意識的に実践してみる。繰り返し行ううちに、自然と習慣になり、意識しなくても結論から話せるようになります。習慣化こそが最大の近道です。
また、家庭や友人との会話でもこの練習は効果を発揮します。「今日一番伝えたいことはね」と前置きするだけで、相手は安心して話を聞けるのです。日常で積み重ねた習慣は、ビジネスの大舞台で必ず活きてきます。
これらのトレーニングに共通するのは、「相手が理解しやすい構造を意識すること」です。伝える内容そのものよりも、伝え方の設計に力を注ぐことで、相手の心に届く確率は飛躍的に高まります。
大切なのは、一度で完璧を目指さないこと。最初はぎこちなくても構いません。結論を先に言おうと意識するだけで、話の印象は驚くほど変わります。実際に「話が分かりやすくなった」と言われるようになれば、それ自体が次の自信につながります。
「話が長い」と悩んでいるなら、それは伸びしろが大きい証拠です。ちょっとした工夫と練習を積み重ねることで、あなたの言葉は相手に伝わる力へと変わっていきます。
