当たり前の話ですが、人間は生まれた瞬間から死に向かって進んでいます。

 ただ、通常、子供は老化していると考えないのは、人間は生まれた後も、どんどん成長してポテンシャルが上がっていくからです。

 

 未熟な状態で生まれてきた人間は、誕生後も成長を続け、ある時を境に、体の機能も下り坂になります。これが、老化です。

 

「いつから老化は始まっているのか?」と言うと、成長のピークは、だいたい30歳前後だとされていますから、そこから老化が本格的に始まると考えていいでしょう。

 

 私たちが老いを感じていようと、いまいと、老化は容赦なく進んでいきます。それがある一定の線を越えた時に、“病気”と呼ばれるようになります。

 つまり病気とは突然、始まるものではなく、加齢に伴う変化が積み重なった結果だと言えるのです。

 

 では、「ここから先は病気」という線が、どのように決まるのかというと、医学会が決めています。意外に思うかもしれませんが、病気かどうかの判定基準は、人間が決めているのです。

 

 特に日本の場合は、国民皆保険制度があるため、「病気かどうかの基準を決めること=保険適応になるかどうかが決まる」ということでもあります。

 

 実は、この病気と判定される線は、予想以上に動いています。

 

 たとえば心疾患や脳疾患に繋がりやすい高血圧ですが、かつては160/95mmHg以上が高血圧とされていたところを、現在は診察室血圧で140/90mmHg以上が1度高血圧と定義されています。

 

 基準が変更されたのは、病気に対する理解が進んだことや、治療薬などの開発、また他の生活習慣病との兼ね合いで、比較的低い血圧のうちからコントロールが必要といった要素が重なったことが関係しているようです。


 

 これは健康診断などについても言えることですが、「病気と判定されて、保険を適用できるライン」と、「実際に体の機能が衰えて修復不可能な状態」とは、必ずしも一致するとは限らないという点には注意が必要です。

 

 私たちが、これだけ豊かで安全な社会で生活できるようになった背景には、現代医療が果たした役割が大きかったことは言うまでもありません。

 しかし現在、その現代医療をも太刀打ちできない状況が広がりつつあるというのも、皮肉な話です。

 

 今、私たちは長寿化によって倍近くに延びた老後と、老化による健康の危機と、社会保障費の増大による国庫破綻の危機などに直面しています。

 様々な困難を前にして、私たちはいかにして自らの生を全うすればいいのでしょうか。

 

 個人的には、最初に現状を把握した上で、今の自分にどのような選択肢があるのかを知ることが大切ではないかと考えます。

 まずは手始めに、以下の書籍を読むことから始めてみてはいかがでしょうか。

 

『トップ1%の人だけが知っている「若返りの真実」』

https://www.amazon.co.jp/dp/429612238X/winwinproject-22

 

 

 

 本書には、アンチエイジング(抗老化医療)の基本的な考え方から、最新情報までが網羅されています。

 これからやってくる超高齢化社会を生きていくには、アンチエイジングの知識が欠かせません。よろしければ、本書をご一読いただけましたら幸いです。

 

俣野成敏


 

《参考文献》

日本医事新報社「“血圧”と“高血圧”の歴史」、メディカルネットブック「第7章 高血圧の歴史」、他