これだけ「情報過多」と言われるようになった現在でも、情報が貴重なものである点に変わりはありません。

 実のところ、情報とは量よりも質が重要です。常に勝者となるのは、戦局を大きく左右するような情報を掴んで、それを最大限に利用した者なのです。

 

 従って、通常はサービス提供者のほうが、消費者よりも有利な立場にいます。残念ながら、世の中には消費者を欺いて荒稼ぎしている業者が少なくありません。

 

 ところが、中にはこのような取り組みをしている企業もあります。

 

オーケースーパー オネスト(正直)カード

https://ok-corporation.jp/feature/honestcard.html

 

 オネスト(正直)カードとは、その名の通り「販売側の人間が、こっそり身内だけに教えるような情報を明かしているカード」といった意味になります。

 

 今はどこのスーパーでも、「生産者の顔が見える野菜」などを販売しています。ビニール袋にはQRコードがついていて、かざすと生産者の顔写真や産地、品種などを見ることができます。

 とはいえ、実際にそうした情報をチェックする人は、あまりいないでしょう。消費者が本当に知りたいのは、「この商品が価格に見合ったものなのかどうか?」だからです。

 

 オーケースーパーの取り組みは、消費者が知りたいと思っているような情報を、自ら開示しているという点で、画期的な取り組みだと言えるでしょう。

 

 私はかつて、メーカーでサラリーマンをしていた時に、社内ベンチャーを立ち上げました。始めたのは、社内で処分に困っていた売れ残り品をアウトレットモールで販売する、という事業でした。

 

 アウトレットで販売する商品は、カタログに掲載されなくなった型落ち品や、B級商品がメインです。通常の販売者であれば、「お客さんが、この傷に気づかずに購入してくれれば…」という誘惑に駆られるでしょう。

 

 でも、私はあえて、その逆を行いました。自店のショップスタッフにも、商品が入荷したら、まずは商品をよく見て、状態を把握するよう伝えました。

 その上で、自分からお客様に「この商品が、どうしてこの価格なのか」を説明するよう伝えたのです。

 おかげさまで、私のお店はお客様の信頼を獲得し、ビジネスは軌道に乗りました。その時の経験をもとに独立・起業し、現在に至っています。

 

 オーケースーパーの取り組みは、地味ではありますが、他社にとっては真似のしにくい方法です。多くの販売者は、顧客に商品の欠点を伝えたら、買ってくれる人がいなくなってしまうのではないかと恐れるからです。

 しかし消費者は、たとえ何も言わなくても、真実を見抜いているということを忘れてはいけません。

 

 自社のファンを増やすという意味では、オーケースーパーのような、ストアロイヤリティを高める戦略は非常に有効です。

 

 ビジネスにおいて、もっとも重要なのは人間関係です。

 それは、相手がお客様であっても全く同じ。いや、むしろ相手がお客様だからこそ、何よりも信頼関係が大切です。結局、それが明日の売り上げとなって返ってくるのですから。

 

俣野成敏


 

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