サラリーマンの退職金控除の見直しが、早ければ2025年にも始まります。
最初に退職金課税が議題に上がったのは、2023年6月に発表された骨太の方針においてでした。ところが、SNSを中心にサラリーマン増税との批判が噴出したため、当時の岸田首相は見直しを諦めたという経緯があります。
2024年度の税制改正でも、見直しは見送られました。「経過措置の制度設計に時間がかかるため」というのが、その理由です。
政府は、2025年度以降、年金制度との一体改革を目指すとしています。
現在の退職金控除は、勤続年数に応じて算出されます。
たとえば勤続年数が20年以下の場合は、40万円×勤続年数を、20年を超えた分に関しては、800万円+70万円×(勤続年数-20年)が、控除として差し引かれるようになっています。
要は、現行制度では、1つの会社で長く働けば働くほど、退職金控除も大きくなる、という設計になっています。この点が、転職が当たり前になった現状に沿ったものではない、というわけです。
2024年度の税制改正の焦点となったのは、ご存じ年収103万円の壁問題です。
年収103万円の壁というのは、もともと短期就労に従事している人が、「この金額を超えてしまうと働き損になる」というので、働き控えが起きていたことが発端でした。
今回の改正で、所得税の非課税枠は年収103万円から123万円に引き上げられましたが、この機に乗じて、厚生労働省が、106万円の壁と130万円の壁も撤廃する方向で動いています。
106万円、130万円の壁とは、現在、社会保険に加入する際のボーダーラインのこと。従業員51人以上の企業で働くパートタイマーの場合で106万円、そうでない企業でも年収130万円に達すると社会保険加入の義務が発生します。
企業規模や年収規定が撤廃されれば、社保加入の要件が「週20時間以上勤務」だけとなり、およそ200万人が新たに加入の対象になると試算されています。
退職金控除の見直しの際にも、こうした手口が使われる可能性があります。
たいていは、経過措置を設けて、少しずつハードルを上げ、気づけば大幅な負担増になっている、というのがお決まりのパターンなのです。
世界最速で超高齢化社会を突き進む今の日本で、負担が軽くなるような要素は見出すことができません。
このような状況下で、今後、私たちはどのように行動すべきなのでしょうか。
個人的には、やはり副業で個人事業を立ち上げることが有力な選択肢の一つになってくるのではないかと考えています。それは副業で収入を増やし、さらに副業を活用した節税スキームを利用する方法です。
この度、「サラリーマンの方が賢く税金を納める方法」をお伝えするセミナーを企画しました。給与所得者が副業で個人事業を行うことによって、初めて可能となる節税術です。
「知らないと損をする税金の話」解説セミナー
https://www.matano.asia/event/setsuzei/
本セミナーでご紹介する内容は、多くは副業が前提ですが、セミナー後半で、未来型副業についても解説しますので、これから副業を始めたい人にとっても有益な内容になっています。
ご自身の未来のためにも、ぜひ新たな一歩を踏み出してください。
俣野成敏
★俣野成敏最新セミナー
https://www.matano.asia/seminar/
《参考文献》
日経新聞Web版:2023年11月1日、共同通信:2023年11月23日、N&N未来創発ラボ:2024年11月26日、他