かつて、甘いものといえば女性が好んで食べるもの、というイメージがありましたが、近頃は、甘いものに目がない“スイーツ男子”も増えていると言います。
人が甘いものを好む理由は、糖質を摂取すると血糖値が上昇し、ドーパミンやセロトニンが分泌され、脳が快感を覚えるためです。砂糖自身にも強い依存性があり、これらの相乗作用によって、自制が効かなくなるのです。
肥満対策として、最近、食品業界で増えているのが合成甘味料入りの商品です。合成甘味料はスイーツだけに限らず、お酒やお弁当などにも添加され、「低カロリーで太らない」と世間でもてはやされている感があります。
でも、そんなに都合の良い話があるのでしょうか。
合成甘味料の代表格とも言えるのが、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムKの3つです。どれも、砂糖の200倍から600倍の甘みがあると言われています。
実はスクラロースは、もともと殺虫剤の原料として開発された物質です。しかし甘味があったことから、砂糖の代替品として使われるようになりました。
アスパルテームはアミノ酸の一種に、メチルアルコールを加えて合成された甘味料です。メチルアルコールは劇物指定されている物質であり、たくさん摂り過ぎると中毒を引き起こし、死に至る可能性もあります。
アセスルファムK(カリウム)も、ジケテンという酢酸由来の物質と、酸性洗浄剤などに利用されるスルファミン酸を反応させるなどして作った合成甘味料です。
合成甘味料は歴史も浅く、自然界には存在していないことから、体にどのような影響があるのか、まだ詳しいことはわかっていません。
いずれにせよ、食品メーカーにとって、人工甘味料は砂糖に比べて安いコストで精製でき、食べても太らないとアピールできるという点で、大きなビジネスチャンスだったのは間違いないでしょう。
「合成甘味料は太らない」と宣伝できるのは、カロリーがゼロか、または非常に低いためです。
ホットペッパーグルメ外食総研の調査によると、消費者が食品を選ぶ際にチェックするのは、1位がカロリー37.5%、2位が糖質28%、3位が脂質26.7%(複数回答)だったということです。
日本では、マスコミなどの影響もあって、いまだにカロリーの多い・少ないばかりが注目され、「いかに砂糖や脂肪分を減らすかが重要」と考えられている節があります。
実のところ、脂質も、糖質も、身体の構成要素を作る際に必要な3大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物(糖質))の1つです。たとえば脂質は、体を保護したり、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、Kなど)の吸収を助けたりといった役割も担っています。
最近、肥満の要因として悪者扱いされることの多い糖分ですが、脳のエネルギー源は糖分がメインであることからもわかるように、必須の栄養源であることに変わりはないのです。
砂糖や合成甘味料に限らず、どんなものでも摂取し過ぎれば体に害を及ぼす可能性があります。何ごとも、ほどほどが一番なのではないでしょうか。
俣野成敏
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《参考文献》
DIAMOND Chain Store:2024年2月2日、他