こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

 仕事をしていれば、嫌な顧客に出会ったことが、1度や2度はあるでしょう。逆に、消費者の立場として、店員に嫌な思いをさせられ、「もうあのお店にはいかない」となったこともあるのではないでしょうか。どちらのパターンも、いろいろなすれ違いがあったことと思います。

 顧客はたいてい、面倒臭いことを嫌うものですが、実は世の中には、顧客の嫌がることを受け入れさせているビジネスがあることを、ご存じでしょうか。それが、こちらです。

 

イケアの家具を楽に組み立てる4つのヒント

https://www.businessinsider.jp/post-231581

 

 ご存じIKEA(イケア)は、スウェーデン発祥の家具メーカーです。北欧風のおしゃれなデザイン家具が安く売られており、店舗にも楽しい工夫が施されています。

 

 IKEAの家具が安いのは、組み立てが省かれているためです。基本的には、「デザインの良い商品が安い」というのが、IKEAの成功要因です。

 家具は、組み立ててしまうと、かさばって倉庫代もかかります。でも、部品のままで置いておけば、保管場所もずっと少なくて済みますし、部品の状態なら、他の家具に流用も可能です。これが、安い理由です。

 

 ちなみに、IKEAでは家具の組み立てを行っていませんが、代わりに組み立てサービスを行う登録スタッフの取り次ぎをしてくれます。スタッフとは雇用関係がなく、IKEAの家具や組み立てが得意な個人事業主が登録しているようです。

 私も以前、IKEAでクローゼットを買い、組み立てサービスに申し込んだことがあります。私の時は、40代くらいのご夫婦が来て、組み立てをしてくれましたが、向こうが土日を指定してきたところを見ると、おそらく普段はサラリーマンをしている人なのでしょう。いわゆるDIY(日曜大工)副業です。

 

 こうした「家具を組み立てて欲しい」という人と、「家具の組み立てをします」という、個人の需要と供給をマッチングするビジネスは、まさにフリーマーケットそのものです。モノの需要と供給をつなぐ市場を提供したのはメルカリですが、IKEAはその家具版といったところでしょうか。

 

 少し、IKEAの店内についてもお話しておきましょう。IKEAのお店は、基本はショールームと商品倉庫とに分かれています。先にショールームを歩く設計になっており、「リビング」「キッチン」「子供部屋」等々、様々なコンセプトをもとに、素敵なライフスタイルが提案されています。当然、そこにはIKEAの商品がふんだんに使われています。

 

 それらを見ているだけでも楽しいですが、商品倉庫まで行くと、先ほど見た家具や小物の数々が山盛りに置いてあります。ショールームを歩いた後で、気分が高まっていますから、自然に商品に手が伸びる…という仕掛けです。

 

 冒頭でもお話したように、IKEAのすごいところは、家具の組み立てという面倒くさい部分を消費者に託して、なおかつ文句が出ないようにしているところです。

 通常、家具とはすでに出来上がったものを配送するのが一般的になっています。それは、素人には家具の組み立てが難しいからですが、そこを受け入れさせてしまうくらい、IKEAの商品には魅力があるということです。

 普通は「組み立てなんて面倒くさいから他へ行く」となるところを、「デザインが良くて安いから、仕方がないよね」とエキスキューズ(免除)させているところが、IKEAの真骨頂だと言えるわけです。

 

 今日のお話が、あなたが普段手がけているビジネスにとって、何かのヒントになれば幸いです。


 

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 ありがとうございました。