日本が貧困化している一因に、“養育費不払い問題”がある | 俣野成敏オフィシャルブログ「脱 サラリーマン思考」Powered by Ameba

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こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

 あなたは、養育費不払い問題についてご存じでしょうか。

 養育費とは、「子供を養うために必要な費用のこと」ですが、ここでは特に、ひとり親になられた方が、元パートナーとの間で事前に取り決めておく仕送りのことを指します。

 実は今、「ひとり親世帯の約8割が、この養育費を受け取れていない」という現状があります。

 

 こんなことを書くと、「親としての責任感がない!」と思われる人もいるかもしれません。しかし、事情はもっと複雑です。

 

 千葉大学教授の大石亜希子氏が2012年に発表した分析によると、離別(離婚)後、単身父親の年収は350万円未満の人が5割以上を占め、しかも2割弱は年収140万円未満だったといいます。

 離別父親の再婚率は59.2%ですが、再婚者は年収の高い層に偏っており、高所得者層の父親の養育費支払い率は約半分とのことでした。

 

 つまり、貧困層の父親は収入が少なくて養育費が支払えず、年収が比較的高い層の父親は、再婚するなどして新しい人生を歩んでいるために養育費を支払っていない、という状況が一部では生まれているようです。

 もちろん、だからといって、親としての義務を放棄していい言い訳にはなりませんが。

 

 厚生労働省の調査によると、2016年時点で、日本の約142万世帯がひとり親世帯だったことが明らかになっています。また2015年に行った国の調査で、大人が2人以上いる子育て世帯の貧困率が11%だったのに対して、ひとり親世帯の貧困率は51%だったといいます。

 やはり、ひとり親世帯の貧困率が高くなっていることがわかります。

 

 ひとり親世帯になると、育児、家事、仕事と、ひとりに負担が集中しやすくなります。特に子供が小さいご家庭にとって、頼りになるのが各種の補助金や元パートナーから受け取る養育費です。

 けれど実際は、困っている人ほど生活に手一杯となり、行政支援を十分に受けられなかったり、そもそも支援制度があることすら知らなかったり、という場合もあります。また「元パートナーに連絡するくらいなら」と、泣く泣く養育費の受け取りを諦める人もいるようです。

 

 養育費不払い問題が起きている背景には、社会の急激な変化に、日本の法制度が追いついていないことも関係しています。これまでは、滞った養育費を相手が払わない場合、強制執行するために必要とされる相手の資産状況を把握する方法が限られていました。

 2003年の民法改正によって、初めて債務者(養育費を支払うべき親)の財産を自ら開示させる「財産開示制度」が創設され、さらに2019年の法改正で、ようやく第三者からも債務者財産に関する情報を取得することが可能になりました。

 

 法律が改正されたことで、最近は民間から養育費取り立て代行サービスも生まれています。要は、強制的に取り立てできる環境が整いつつある、ということです。

 

 なぜ今回、この話をしたのかというと、あなたにも、この問題を知ってもらいたかったからです。社会問題は、みんなが「あれは当事者たちの問題だ」と思っているうちは解決できません。

 誰もがその問題を認識し、かつ関心を持つことで、社会全体のリテラシーが底上げされ、解決に向けて動き出すのだと思っています。

 

 養育費問題が、1日も早く良い方向に向かってくれることを、願ってやみません。


 

【参考資料】

・厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」。数値は母子世帯と父子世帯を合わせたもの

・日経新聞Web版、2020年2月16日

・『離婚の経済学 愛と別れの論理』(橘木俊詔他著、2020年、講談社)

・法務省民事局「養育費の履行確保に向けた取組」他


 

 ありがとうございました。


 

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