こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。
世の中では、人は第一印象が大事だとよくいわれます。けれど、第一印象で本当にすべてが決まるのか?というと、そうではないでしょう。
もしかしたら、最初は「イヤな奴だな」と思ったとしても、それはただ単に、自分に相手の力量を見抜く目がなかっただけなのかもしれません。
先日、私がビジネスオーナーをしている会社の社員から、このような相談を受けました。相談者は、最近、伸び盛りのJ君。S先輩との関係に悩んでのことでした。
古株のS先輩は、一流の技術を持っています。けれども、新人や後輩に対してはぞんざいな態度をとるクセがありました。
最初は、そんなS先輩のことをイヤだと思っていたJ君。しかし、S先輩から雑に扱われた悔しさをバネに仕事に打ち込んだところ、同僚から一歩抜きん出た技術を身に付けることができました。
仕事ができるようになってみると、J君は、S先輩のいっていることが理解できるようになりました。しかしJ君には、同僚たちの気持ちもわかります。
「どうしたら、S先輩にみんなの気持ちに気づいてもらえるだろう?」と悩んだ末に、私のところに相談にやってきたのでした。
J君が、S先輩を変えたい気持ちはわかります。けれど、自分よりも立場が上の人や、能力が高い人を変えようとすることは、かなり難しいのが実情です。
ご自身に置き換えて考えてみればわかると思いますが、普段、自分が素直に耳を傾ける相手とは、自分が一目置いている人ではないでしょうか。
残念ながら、相手のいっていることが正しかったとしても、自分よりも下の人からいわれたくないのが人間です。
ですから、J君がアプローチすべきなのは、同僚や後輩たちです。
彼らの間では、J君の実力は認められていますから、話を聞き入れてもらいやすい土壌はすでにできています。
J君にとって、同僚や後輩たちは“少し前の自分”だといっても過言ではありません。J君は彼らのことが理解できるからこそ、彼らに響きやすい言葉で語りかけることができるのです。
もし、J君がS先輩の代わりに、S先輩の真意をみんなに伝えることができれば、S先輩と同僚、後輩の双方から感謝されるでしょう。これは、チームを強くする良い方法の1つです。
通常、組織内にいる人は、人事権を持っている上司やマネジャーなどに自分をアピールしようとします。しかし、自分よりも立場が上の人に対して、こちらができることには限りがあります。
一方、相手がチームメイトの場合は、自分が直接、影響を与えることが可能です。これによって、チームが上手く回り始めれば、自分もその恩恵を受けられます。J君が、「頼れる先輩」になれるのです。
今はこういうご時世ですから、もしかしたら自分が目をかけた後輩が、将来的に自分の上司になる可能性だってあります。たとえそうなっても、今から良い関係を築いておけば、慌てなくても済むでしょう。
こんな話があります。銀座にいるホステスにも、一流、二流、三流といます。三流のホステスは、誰も自分のファンにできません。二流のホステスは、やってきた団体客の中からキーパーソンを見定めて、その人をファンにすることに力を注ぎます。
それに対して一流のホステスは、ベテラン客はもちろん、若手にも気を使うことで、将来のお客さんをファンにすることも忘れないのだということです。
人付き合いは、貢献が基本です。
しかし本当に大事なのは、「自分は誰に貢献すべきなのか?」を見極めることだということを、ぜひ覚えておいていただきたいと思います。
★本日のお話をより詳しくお知りになりたい人はこちら
『仕事の一流、二流、三流』
ありがとうございました。