熱気球と怖い夢 | おバカな2人の二人三脚

おバカな2人の二人三脚

 ふたりで楽しいお気楽生活。 胸を張って前を向いて歩きましょ。

今日6月5日は、熱気球記念日だそうです。
1783年のこの日、フランス・パリでモンゴルフィエ兄弟が、人を乗せた熱気球の飛行実験に世界で初めて成功したんだって。
ライト兄弟が飛行機で初めて空を飛んだのが1903年というから、熱気球は120年も早かったことになります。うーん、すごいことかも。
それにしても、初めて空を飛ぶ人は、兄弟が多いんですな。

もうひとつ。
今日6月5日は、環境の日だそうです。
国連において、日本の提案によりこの日を「世界環境デー」と定め、わが国では「環境基本法」の第10条で「環境の日」と明記されたんだって。 ふーん、法で定められてるんだ。


   *   *   *

上空から眺める地上は、色とりどりのパッチワークを見ているようだった。
ビルも工場もない、ひたすら続く畑、野原、牧場……。
ここでの主役は人間ではない。 自然とともに生きる草木、牛、馬たちだ。
僕たちの熱気球は、自然の中に溶け込むように漂っていた。

地上が手のひらに乗るような気がする。
毎日あくせく暮らす地上なんて、こうやって眺めればちっぽけなもんだ。
この瞬間、僕は神になった錯覚がした。 すべてはこの手に上の出来事さってね。

神様になった気分だね」 隣にいた なる に声をかけると、
「ほんと、雲の上の雷さんだね」 と笑った。

神様と雷さん--
バーナーの音が生んだ聞き違いだが、うん、確かに雷さんの方がいいな。

なるはゴンドラから乗り出すようにして、はしゃいでいる。
おいおい、落ちるなよ。

気球に乗って

僕はポケットから単眼鏡を取り出すと、地上に焦点を合わせた。
米粒のように小さくみえたものは、牛の放牧だった。
たくさんの牛に紛れて、牧場主と思われる人もいた。
盛んにこちらに手を振っているように見えたので、こちらも手を振ってみたが、まぁ見えないだろうな。

と、そのとき。
下から猛然と浮上する何かが現れた。
単眼鏡の中で、みるみる姿を大きくしたそれは、巨大な黒い鳥だった。
真っ直ぐに僕たちの熱気球をめがけてきた。

なるも異変に気が付いた。
2人があっと声を上げたのとほぼ同時に、怪鳥の口ばしが熱気球の球の部分を突き破った。

溜め込んだ熱風を勢いよく吐き出しながら、熱気球は急速に下降し始めた。
先ほどの牧場が目の前に迫ってきた。 逃げ惑う牧場主と牛たち。
あぁ、もうダメだ。 激突する!
昨日までの出来事が一瞬のうちに脳裏をよぎった。

「うわぁー!」
かなり大きな声を出したと思う。 自分の声で目が覚めた。

……よかった、夢か。
だが、左手でなるの右手を握りしめて、ひどく寝汗をかいていた。
同時に目を覚ました なるも寝汗で首筋が光っていた。

話を聞くと、彼女も熱気球の夢を見ていたらしい。
そして、黒い鳥が気球を襲ってきて……。

   *   *   *


実際のところ、僕は気球に乗ったことがありません。
なるは、オーストラリア旅行で乗ったことある~! とか自慢してますが。

球の部分(球皮という)は丈夫に出来ているので、鳥がつついたぐらいでは破れないそうです。 それに高度を考えても、鳥がいるはずないですよね。

イラストにそぐわない三流のショートショートみたいで失礼しました。 ε=ε=ε= ヾ(*~▽~)ノ