1991年
鳴尾は、三番・大石と四番・宝門が8割の長打率を誇り、春以降、20本の本塁打を二人で放つなど、一試合平均7点を奪う強力打線。
ドラフト8位で指名した大石昌義投手(19)=鳴尾高出、178㌢、76㌔、右投げ右打ち=の入団が二十四日決定した。契約金一千万円、年棒四百万円。今年のドラフトで指名された選手の入団決定は全球団を通じて大石が初めて。大石は広島の入団テストを受け、合格した選手で、この日、備前チーフスカウトが父親行伸氏が経営する神戸市中央区の飲食店を訪ね、契約を交わした。
1999年
クレバーな桑田の頭が真っ白になった。まさか…。振り返った左中間スタンドに、白球が飛び込んだ。桑田を横目に「二刀流」の怪物が笑みを浮かべる。投げてよし、打ってよし。一塁手前で打球の行方を確かめたミラーは、巨人ファンのどよめきを堪能するように、ゆっくりとダイヤモンドを1周した。「バッティングは昔から好きなんだ。(桑田は)スライダーが多かったので、狙ってたのさ」同点の8回2死。桑田の初球、真ん中に入ったスライダーをすくった。豪快なスイングだった。昨年、3Aでも1本塁打を放ち、メジャーでは14打数4安打、打率2割8分6厘。桑田も真っ青の好打者なのだ。来日初安打が本塁打。これが決勝点となって、自らの2勝目を招き寄せた。阪神の投手のホームランは1995年9月7日、中日戦で打った竹内以来、約4年ぶりだった。野村監督が含み笑いで感心した。「ラッキー・パンチがあるんやな。でも根拠はある。3打席とも同じ攻めだった」そう、ただのラッキーではない。桑田の配球を読み、完ぺきに打ち返した。ナメた桑田が悔やんでみても、もう遅い。本職でも、来日5試合目で最高のピッチングだった。3回に二岡にソロを浴びたが、7回1死一、三塁では、その二岡を高めの直球で三振に仕留めた。8回途中まで5安打6奪三振。最速151㌔の球速は、147㌔どまり。中盤以降チェンジアップ、スライダーを巧みに配し、強力巨人打線に連打を許さなかった。「ジャパニーズ・ガールはかわいい。英語が話せる娘なら付き合ってみたい」明日24日が27歳の誕生日。日本人の恋人を募集中。それほど、日本がお気に入り。好きな日本料理は「テンプラ」「ウドン」来日2か月というのに、日本語が口をつく。まるで日本語を覚えようとしなかったメイとは正反対。このミラーは優良助っ人だ。
1999年
ーセールスポイントは?
ミラー 真っすぐとファストカットボール(高速スライダー)には自信があるし、ストライクも取れる。球速は91㍄(145㌔)ぐらい。カーブにチェンジアップもある。まあ3Aでも先発だったし、中継ぎより先発の方が得意だね。まあ、起用法については監督に任せるよ。
阪神の新外国人のカート・ミラー投手(26)のデビュー戦が、13日のウエスタン・ダイエー戦(鳴尾浜)に決まった。先発で5イニングを予定。松井ヘッドら1軍首脳陣が見守る前で一発合格の快投を演じれば、20日の広島戦(甲子園)で1軍先発デビューすることが濃厚だ。前日就労ビザを取得して再来日したミラーは11日、初めてタテジマ53番のユニホームを着用。鳴尾浜球場で投球練習を行った。直球や自慢のカットファストボールなる高速スライダーを交え、計60球。御子柴育成コーチは「低めによく決まるし、角度があるから打ちにくいだろうね」と絶賛。もちろんミラー自身が、気合満点だ。「やっとタテジマの一員になれて誇りに思うよ。1日も早くメジャー(1軍)に上がって、甲子園の大観衆の中で投げたい気持ちでいっぱいだ」と力強く語った。
阪神の新外国人カート・ミラー投手が13日、ウエスタン・対ダイエー戦で、来日初登板した。先発し、4回5安打1四球2三振。3点を奪われたが、最速145㌔をマークした。1㍍95の大男が、いきなりメッタ打ちにあった。初回、2本の二塁打を含む4安打で、3点を失った。しかし、自慢のスライダー主体の配球に変えると、3、4回の2㌄は無安打。「序盤は、高めに浮いたが、回を追うごとに、実戦感覚を取り戻すことができた」ネット裏で観戦していた野村監督は、「評価が難しいが、四球で崩れる心配はなさそうだ」とまずまずの評価。2盗塁を許したものの、「けん制もクイックモーションもできる」と及第点を与えた。「メイが球宴前最後の登板をした後に、登録を入れ替えて、リリーフで様子を見ることもある」と球宴直前に中継ぎでテストする方針を明らかにした。
鳥肌の立つ、鮮烈デビューだった。剛球がうなりを上げ、ミラーの巨体が甲子園に躍った。9回、最後の打者西山を内角145㌔の直球で空振り三振。その瞬間、スタンドはこの日最大の歓声で沸き返った。ミラーの1軍初登板は、堂々の2㌄パーフェクトデビュー。前半最終戦は惜敗した。だが新助っ人の力投は紛れもなく、球宴明け反攻への明るい光だった。8回まず前田、町田を楽々仕留め、圧巻は木村への初球だった。セーフティーバントは、ファウルするのが精いっぱい。そしてミラーが振り返った電光板には、151㌔が浮かび上がった。スピードガン導入後、ついにリベラを上回る虎投最速記録だ。さらにその2球目。今度はふた握りバットを短く持った木村を、内角150㌔で二ゴロにねじ伏せた。まさにアメリカンエクスプレス。ここに高速スライダーを交え、計2三振。前田、金本ら強力打線に、まともにバットを振らせなかった。「この日が待ち遠しかったよ。素晴らしいファンの後押しもあって、いいスピードが出た。でもチェンジアップとか、まだまだ他のボールもあるんだぜ」196㌢、100㌔が、心地よさそうに汗をぬぐった。2日間ブルペンでスタンバイしたが、出番はなし。だが巡って来た舞台で、すべてにおいて前評判以上の好結果を出して見せた。「腰がよければもっと出るよ」春先に痛めた腰の状態は万全ではない。それでいてこの球威。まさに怪人、末恐ろしく頼もしい男だ。