夜光虫の弁明

夜光虫の弁明

…ホスト界隈、地獄極楽、また地獄…

どこまでも愚かで、つい、その場の雰囲気に流されやすく、すぐに自分を見失ってしまうようなお調子ものが、一人のホストとして、四半世紀に渡って眺め続けたホストクラブの実態を、ありのままに書き綴っています。







ナルスィスの静謐









※なお、このブログは真実を元にしたフィクションです。一応、そう言うことにしておいて下さい。





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服用抗がん剤のロンサーフには全く効果が見られず、黄疸の兆候が出ているため、主治医から使用の中止を通達された。

これで、足掛け四年に渡った抗がん剤治療による延命措置は終止符を打つことになる。

後は、通院を続けても効果的な治療法はなく、病気の進行による様々な症状を緩和させることしかできないとのこと。

TVでは多くの最先端治療が紹介されているが、健康保険など一切適用されず、それを受けるには、莫大な治療費が必要となり、今の私にはとても捻出できる金額ではない。

残された道は、全身に拡がるガン細胞と、この先どのように付き合って行くかだけとなった。







この店は、ホテルニュージャパンの並びという好立地条件で、実際、ハイソな上客が多いためか、ホストの一挙手一投足にも洗練された雰囲気が
醸し出されていた。

前職が教師だったり自衛隊員であったり、また、現役の俳優や歌手などもおり、非常にバラエティに富んだ構成で、何とも言えない華やかさを演出していた。

指名客の席に着く所作も、それぞれが自己演出しているのか、一旦テーブルの前で笑顔を見せて立ち止まり、腰を90度に曲げて深々と頭を下げるホスト。

どこか裏社会の匂いを漂わせて、ろくに挨拶もせず、深々と半円形のソファへ腰掛けるなり、無表情にお客へ冷めた視線を送るホスト。

全身から優しさを放散させながら、まるで執事の如くに挨拶をして、終始、気配りを欠かせず、一瞬たりともお客の動きから注意を逸らさないホスト。

50人ほど在籍していたホストだが、新人やBクラスのホストを除いては、一人として同じ所作をするものはおらず、様々な経験からそれぞれが自分に合ったものを見出していったのだろう。

クラスというのは、この店ではランクによって指名料が異なり、S・SA・A・Bの4段階に分かれていた。また、ランクは売上・指名数・経験などによって決められる。

ロングのパーティードレス姿で席へ着くお客がはなはだ多いことに、入店当初は違和感を覚えていたが、ウェイター主任に確認したところ、階段を降りたところにいくつか更衣室が用意されており、来店時にドレスへと着替えて、お帰りの際には元の服装へ戻られるとのこと。

男性が高級クラブで遊ぶのとは異なり、やはり女性という生き物、特にハイソな感覚を身につけている人たちには、こうしたホストクラブへ遊びに来ても、常に自身の中にあるTPOを納得させないと、十分な満足心を得られないのであろう。




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あの清原が、覚醒剤使用の容疑者として、警察に拘留されてしまった。

巨人軍の選手時代に、新婚早々の奥さんや友人と、当時、私が籍を置いていた歌舞伎町のホストクラブへ飲みに来たことが、昨日のことのように思い返される。

清原選手の姿を発見したホスト達が、こぞって色紙にサインを求めてきたのを、嫌なそぶりなど全く見せずに、二十枚近くも、気さくに書いていた姿からは想像できない、まるでヤクザを思わせる異様な雰囲気を醸し出している逮捕時の映像には、心底から胸が痛んでならない。






二十歳を過ぎて間もない私がウェイターとして籍を置くことになった、この赤坂の店は、実際にホストとして勤めることになる深夜ホストと異なり、夕方の6時から深夜11時迄の営業で、当時の流行り言葉で、有閑マダムと呼ばれる客層に占められ、土日を除くと、風俗やホステスなどは殆んど来店しなかった。


後に、青春物のTVドラマで主演を張り、一時代を築いた俳優が、ヘルプホストとして、指名者に気配りをする姿なども垣間見られた。


その店でのウェイターの仕事は、5時に出勤して直ぐスタンバイに入り、6時にはユニフォームへ着替えて、自分が受け持つテーブルの周辺に待機をするところから始まる。


お客の殆どは一人で来店することが多く、黒服に案内された席に座る。黒服がテーブルを離れる姿を確認した担当のウェーターは、よりスピーディーにおしぼりを差し出すと、こんどは数十本の花が活けられた水差しが載っているワゴンをユックリと運び、お客に選んでもらった花を、1輪挿しの花瓶に挿してテーブルに置いたところで一区切りとなる。


簡単そうに見えるが、なぜかこの店の決まりとして、ウェイターがお客様にサービスをする時には、必ず、片膝を床に着けて行わなければならず、その動作に慣れるまでは、実にしんどかった記憶がある。


常連のお客は、入店時に黒服へ指名者を伝え、逆に本番のお客は、黒服がテーブルの上に置いた在籍ホストの写真集の中から、誰か1名を選択して伝える。この写真の中には、なんとか本番客の目に留まるようにと、撮影費に数万円を掛けたものもあったそうだ。






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ステージⅣの大腸ガン宣告を受けてから、とうとう足掛け四年目に入った。


五年生存率14パーセントと言われるこの病気との付き合いも、まる三年半となったが、今日まで、患部の切除手術に始まり、最初の抗がん剤、ベクティビクスの点滴から、アバスチンへと変わり、またベクティビクスに戻した。


緊急時にも備える必要があると言われて、自宅から近い市民病院へと転院することとなり、かれこれ三か月目の昨日、転院先の主治医から、腫瘍マーカーやCT検査の結果を見る限りでは、今回のベクティビクスの使用に関して、有意な効果が殆んど認められず、服用抗がん剤ロンサーフへの移行を推奨された。


効果や副作用など様々な説明を受けたのちにそれを了承すると、こんどは薬剤師から、多くの注意事項を説明された。調剤薬局に寄りながら家へと戻り、何気なしにWEB検索をしてみると、延命効果は平均で数か月しかなく、一年以上延命の可能性は非常に低いことが理解できた。


ついにその日がやって来るのか、それとも、わずかな可能性を期待できるのかと、不安に心を揺らせながら、死への恐怖を感じさせられずにはいられなかった。


このブログを更新することで、幾らかは気持ちを和らげることが出来るのではないかとの思いから、前回の続きを書くことにする。





その外資系ホテルでのバーテンダー稼業は、彼女が言っていたように、私には向いていなかったと見えて、わずか半年余りで辞めることとなった。


その日、最後の務めを終えて帰路についたが、赤坂見附駅に向かう途中で、何気なしに、どこか最後の見納めと言う気持ちがあったのか、前述のホストクラブの看板を眺めた。


例によって、ホスト募集中と書いてある貼り紙があったが、その時、この文言の隣に小さく表記されていた文面を、しっかりと両目が捉えていた。


何故それまで気付かずにいたのだろうか。そこには、ウェイターも同時募集と書いてあったのだ。


頭の中で様々な事柄が錯綜した。彼女が言っていたようなホストに就くなんて、一着のスーツすら持っていない自分には、到底に無理なことだと思えたが、ウェイターならばユニフォームもあるだろうし、何とか務めることが出来るのではないだろうかとの結論に至り、アパートに戻ると大急ぎで履歴書を書き上げるなり、その店の前へと舞い戻った。


心臓の鼓動を烈しく波打たせながら、入口の先にある、螺旋状に作られた赤い階段を一歩一歩と降りて行った。





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