山梨から埼玉へ帰る電車の中で

 

僕は窓の外を眺めていた

 

 

あの日

 

事故を起こして失うものがたくさんあった

 

けど

 

障害者になったからこそ得たものもたくさんあった

 

家族に対する思いやりの気持ちだったり

 

恩人との出会い、浅川くんとの出会い

 

などのたくさんの出会い

 

生きるということに対しての価値観

 

障害を負ってなかったら得ることのなかったことばかりだ

 

 

毎度のことタラレバになってしまうが

 

あの日

 

事故を起こしてなかった先の世界線がすごく気になった

 

 

僕は当時

 

高校を中退した後

 

通信制の高校へ編入した

 

別に無理に高校へ行く必要もなかったが

 

僕は昔、保育士になりたかった

 

だから

 

短期大学へ入学するためにも高校の卒業は必須だった

 

だけど

 

夜通し居酒屋で働き詰めの僕は

 

保育士になれただろうか

 

未成年でお酒を飲むクズ野郎は

 

もっと最悪なクズ野郎になってなかっただろうか

 

想像するのも嫌だった

 

 

横森さんの姿を見て

 

人にはいつなにが起こるかわからない

 

全くその通りだった

 

横森さんは僕と違って

 

人生を真っ当に歩んできた人だ

 

そんな人でも

 

ある日、突然障害者になってしまうのだから

 

 

そんなことを考えながら帰路についた

 

 

みんなに言いたいのは

 

とにかく後悔のないように日々を送ってほしい

 

僕のように

 

後ろばかり振り返る人生を送ってほしくない

 

ただそれだけなんだ…

 

 

失った大切なもの