「あーちゃ！月と飛行機！」
空を見上げて、５歳の少女が指さします。
見上げた東南の午後４時の空。
白い三日月。そして、ゆっくりと近づいていく飛行機。白い雲を吐きながら。
５歳の女の子は、白い月と白い雲が重なる場面を、もう、想像したのでしょう。
「あ、ぶつかっちゃうね」
「うん。でもだいじょうぶ！」
飛行機は、白い月すれすれに上を通り過ぎました。
白い三日月と長い飛行機雲。
この小さな人の感性がどこまでも広がりますように。
タンポポの綿毛をフーフーしながら歩いて行く姿に、そっと、祈る５月の午後でした。