GO/金城一紀 | なおぱんだのひとりごと。 ~読書と日々に思うこと~

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なおぱんだです。
北の国から、読んだ本、買った本、大好きな曲、そして日々思うことなどをポツリポツリと書いてます。

GO (講談社文庫)/金城 一紀


作者の直木賞受賞作品です。朝鮮籍から韓国籍に移籍した「在日」と言われる少年を主人公にした家族と友人と恋人との物語です。早いテンポリズム感にあふれた描写が楽しめる作品です。


日本で生まれて日本で成長し日本語を話しても、「在日」という言葉で壁が築かれて差別を受け、迫害される。「日本人」だからといってどこが偉いのか。「人間」としてどこが違うのか。物心ついて差別されながら生きていかなければならない宿命に半ば諦め、やり場のない怒りに暴力を持って発散させながらも明るく正直に生きる主人公の少年は、ストレートで等身大の高校生なんだと思います。「体制」を嫌い、将来の生き方を悩みながら成長していく姿に思わずエールを送りたくなりました。欲を言えばもう少し、いや、かなり若いころの自分に読んで欲しかったなあ。今の年齢で読むにはちょっとこっぱずかしい感じもありますね。


最初の部分は「それなりの青春もの」という印象が強かったんですが、読み進むにつれて心が晴れてくるいい作品でした。コミック版もあるみたいなのでそちらも読んでみたいですね。