NPO法人ねこけん Official Blog

2011年9月22日に立ち上げた新猫ボランティア団体『NPO法人ねこけん』の公式ブログ


テーマ:
**転載です***
このお話は、フィクションです。
ですが、日々センターではこういった事や、想いが留まることなく流れているんだと思うと、
「捨てないで!」「簡単にペットを飼わないで」と思ってしまいます。




「不要なのは、ペットの命では無く、殺処分なんだ…」

またか…。
倉田は、大きなため息を付いた。

倉田が動物収容センターに勤め始めて、既に3年がたとうとしていた。

センターにペットを持ち込む人間との会話は、何回経験しようと理解することが難しい。

「家族で海水浴に行くから、もう育てられないから」と、飼い猫を持ち込み殺処分を依頼する母親。
足元では子供が愛猫と別れかれたくないと泣いている。
それでも母親は「海に行きたくないの?また飼えば良いでしょ。海に着いたらアイスクリーム買ってあげるから」と泣きじゃくる子供に言い放っていた。
「猫は家族では無いのですか?殺さなくてもペットシッター等頼めば、飼育可能なのではないですか?」
倉田が説得を試みるが、母親は「この子の情操教育にもなったし。また機会が有ったら、今度はセンターから貰うわ」と平然と言ってのけた。
倉田は、内心穏やかでは無かったが、引取りを拒否する事は出来ず、泣く泣く引き取るしか無かった。
「いいえ、もうペットは飼わない方が良いと思います」とアドバイスするのがやっとだった。

「仔猫の時に可愛そうで拾ったけど、住んでいるアパートがペット禁止で、近所から捨てろって言われて…私も歳だし…許してね」と飼い猫を持ち込む高齢の女性。センターの中に連れて行かれる愛猫向かって手を合わせていた。
「今更だけど、もともとペット不可のアパートに住んでいるなら飼ってはダメでしょう?此処まで一緒に過ごして、殺してしまうのは可愛そうですよ。拾った時点で里親募集をすれば良かったのに。もう動物は飼わない方が良いですから」
と、言うと、老婆は、「拾ったの。拾ったから育てて居たんだけど、近所の人が捨てろって」と言うばかりだった。

ある日には、軽トラックで3匹の仔犬が運ばれて来た。
「いつもすまないね~。また産まれちゃって」と、今まで何回も仔犬を持ち込む男性

「いい加減にしてください。母犬の不妊手術をしてくださいよ。こんなに愛くるしい仔犬を、あなたは何回殺処分にしているのですか?」

「だって、産まれたんだから仕方ないだろう!お前何様のつもりだっ?自分の犬をどうしようと俺の勝手だろう?そんならお前が飼えば良いだろう!」

倉田は悔しさで言葉も出ない。

「お前にやるよ」と言い捨て、男性はさっさと帰ってしまった。

倉田の手元には、大きなダンボールの中で無邪気にじゃれている3匹の仔犬と、これが命の値段なのか?と毎回その価値に悩む引き取り手数料が残った。

倉田の同僚の美弥子が近づいてきた。
美弥子は箱を受け取りながら、頬を膨らませて怒っている。
「またあの人ね。今まで何匹の仔犬の命を奪ったら気づいてくれるのかしら?」

「まったくだよ…。こんなに愛らしい仔犬を、どうして殺すことが出来るのか…何度言っても不妊手術をしてくれないし…困った人だよな…」

センターの職員は、毎回苦しく辛い思いをしながら、もくもくと仕事をこなすしか無かった。

どんなに、里親募集をしても、全頭を救うことは出来ない。
それでも、倉田は、このセンターから動物を引き出し、新しい飼い主を探すボランティアをしている団体の代表に連絡を入れた。

「もしもし…溝田さん?毎回すまないのだけど…また仔犬が持ち込まれて…。凄く可愛い子なんだけど、里親募集出来るかな?」

倉田の暗い声に、状況を察した団体の代表溝口は
「また、あの人の仔犬でしょう?まったく、酷いわよね!実はうちもいっぱいなんだけど、何とかするわ!じゃ、後で行きますね」
勤めて明るく返事を返してくれた。

倉田は「ありがとう」と言うのが精一杯だった。

午後になって、その仔犬達は無事ボランティア団体に引き取られて行った。

倉田は1日の仕事を終えて、帰宅の準備をするときに、
「今日は、救えた。でも、明日は分からない。毎日同じような事が続く…動物収容センターが不要になる世の中が出来れば良いのに」と、暗い気分になる。

だが、「気が重くなっても何も解決しない!」と気持をリセットし、今や日課となった「動物達が普通に生きられる世の中になりますように」と空に向かって手を合わせ、センターの門を出た。

翌日、倉田が出社すると、同僚の美弥子が、中くらいのケージに入れられた猫の前で暗い顔で思案にくれていた。

「ねえ、倉田さん。この猫なんだけど、お腹に赤ちゃんが居るの。もう数日で産まれそうなんだけど…持ち込みなの…」

「えっ?」
倉田は声を詰まらせた。


飼い主が持ち込んだ動物の命の期限は極端に短い。
翌日には殺処分となる。

美弥子は、はちきれんばかりに大きくなったお腹を抱えながら、ケージの中で不安そうにしている母猫を、殺処分室に移動できずに居た。
数年前、同じように、あと数日で仔猫が産まれそうだという妊娠した猫が持ち込まれた。
持ち込んだ人は、「産まれると飼えないし、これ以上猫にお金をかけられない」という理由を早口で言うと、飼い猫を置き、振り返りもせずにドアを出て行った。
新人だった美弥子は、飼い主からの持込なので仕方なく、大きなお腹で苦しそうな息をしている猫を殺処分室へ運んだ。
翌日、殺処分室で他の動物と共に、処分となった。
処分後…母猫はお腹の辺りに3匹の仔猫を抱えたまま息絶えていた。
苦しみながらも、出産が始まり、母猫は産み落とした仔猫に最後の力を振り絞り乳を与えようとしてたのだろう…
仔猫は呼吸が浅い為、息絶えるまでに時間がかかる事が有る。
仔猫も生きる本能で、母親の乳首に顔を埋めたまま動かなくなっていた。

美弥子は、この件以降、妊娠した猫や犬が持ち込まれる度に、必死に飼い主を探して譲渡して来た。
何匹も何匹も譲渡しても、美弥子の心からあの母猫の事は消えはしないのだが、美弥子は多くの助けたい命が有る中でも、他の命に謝りながら妊娠した猫や犬の譲渡は最優先にしていた。

「倉田さん、また内緒にして頂けますか?この子、もう数日で仔猫を産みますよね」

規則では、個人の感情で仕事の内容を左右してはいけない事になっている。
しかし、過去の話を知っている倉田には、美弥子に対して規則を押し付ける気持にはなれなかった。


「美弥子さん、その母猫早く家に運ばないと、今日明日にも産みますよ。」
獣医師でも有る倉田には、その母猫が今日明日にでも仔猫を出産することが分かった。

美弥子は、慌ててケージに布をかけると、自分の軽自動車に積み込んだ。
そして、母親に連絡をすると、程なくして母親が車を取りに来た。

「お母さん、母猫の出産準備宜しくね。私も、今日は残業が無いから、早く帰るね」

美弥子の母親は、娘の優しい気持が嬉しいらしく、笑顔で車のキーを受け取り、猫の乗った軽自動車で急いで帰って行った。

「倉田さん、どうして人間は家族であるペットの命を「殺して」と他人に差し出せるのでしょうかね?どうやったら、そういう人達の心理を理解することが出来るのでしょうか?私、毎回辛くて、人間を憎んでしまいそうになって…いけませんよね。こんなんじゃ」

倉田は、返事が出来なかった。

は、倉田にも記憶から消せない犬の親子が居た。
飼い犬であったにも関わらず、引越しをするからという理由で非情にも持ち込まれた犬の親子。
がりがりに痩せた母犬と、体は真っ白で鼻だけ黒く、片方の耳が折れた仔犬はケージの中で蹲って怯えていた。
飼い主は、3匹産まれた中で、綺麗な2匹の仔犬を手元に置き、歳をとった母犬と片耳が折れている仔犬1匹を持ち込んだのだった。

やるせない気持のまま、親子を部屋に移したが、仔犬を守ろうとする母犬は、職員達に激しく攻撃を繰り返した。

倉田は、母犬を落ち着かせようと、毛布を入れてやろうとして、腕を数針縫う程噛まれた。
そして、母犬は危険と判断され殺処分になってしまった。
2匹の仔犬を奪われ、更に最後の1匹までも奪われそうになった母犬は、自分の命も危険な中、仔犬を恐ろしい人間から守ろうと必死に抵抗していただけなのに、その結果殺処分となってしまったのだ。
倉田は、苦しい心情の中、仔犬だけでも何とかしたいと考えていた矢先、噛まれた傷からばい菌が入り、仕事を3週間も休まなければならなかった。
傷が治り、仕事に復帰した時には、仔犬の姿は無かった。
最悪の事態も決して珍しくは無いセンター内では、仔犬の行方を誰にも聞けないまま現在まで来てしまった。
「きっと、優しい人に譲渡されたはず…」そう思うしか無かった。
今でも、最後まで仔犬をかばって、人間に攻撃を繰り返した母犬の声が耳から離れない。

だから、倉田には美弥子の気持が痛いほど良く分かる。
困ったような笑顔で美弥子の顔を見ながら「所長には僕が上手く言っておきます」
そう言うのが精一杯だった


今日も、多くの命が愛護動物保護センターに運ばれてくる。
飼い主が「不要」として持ち込む命達。
怪我をして道路で横たわっていた猫。
首輪をつけたまま、放浪していた老犬。
袋に入って公園に置かれていたフェレット。
スーパーの駐車場につながれたままだった小型犬
山で捕獲された猟犬等
ウサギやインコまでも運ばれてくる。

倉田は思う。
人間は、どうやったら、動物の命の重みを理解できるのだろう?
人間も動物も、植物も、魚だってみんな生きている。
動物を家族に迎えるって事は、家族が1人増えたようなものなんだ。
それなのに…いったい処分って何だ?殺処分って?
命の処分っていったい何なんだ!
何処にもぶつけられない怒りがこみ上げて、苦しくなる程だ。

「ミミズだって、螻蛄だってアメンボだって、みんなみんな生きているんだ友達なんだ」
歌の一節が耳から離れない。

みんな生きている。
友達なんだ…地球に生きている、同じ「命」なんだ…。

人間はいつから、他の命を左右するようになったんだ…

倉田は、この仕事が辛くてたまらなかった。

幼い頃から動物が大好きだった。
家の近くには大きな通りがあって、よく猫が轢かれていた。
「動物を救いたい」そう思い、獣医になった。
でも、実際はそんなに奇麗事では済まなかった。

毎日、動物の命を救えない事、人間の都合で自らの手で命を絶たせる事に嫌気も差していた。
動物は生きる事を諦めない…それなのに…
「自分にはこの仕事は向いていない」そう悩んでいた。

ある日、老人がセンターにやって来た。
そして、中庭に有る、動物の慰霊碑に向かって手を合わせていた。

倉田は、長い間手を合わせている老人が気になり、話しかけてみた。
「こんにちは。動物達の為に祈ってくださりありがとうございます。僕も毎日手を合わせているんですよ。」

すると、老人は倉田を見上げ
「以前、此処から仔犬を譲り受けましてね」

倉田の表情が明るくなった。
「ありがとうございます!救って頂き、ありがとうございます。私たち職員にも凄く嬉しいお話です!」

老人は、優しい笑顔を浮かべ、ゆっくり話を続けた。
「あなたはセンターに長くお勤めですか?体は全部白くて、鼻だけ黒い片方の耳が折れている仔犬、覚えていますか?実は、その仔犬は、うちの家族が引き取りましてね。
でも母犬は殺処分されてしまったと伺い、どうしても此処で手を合わせ、母犬の魂に「仔犬は大切に最後まで飼うから心配しないように、安心して」と言いたくて、遅くなったけど、慰霊碑に報告に来た次第です。元気で大きくなりましたよ。幸多朗と書いてこうたろうって名前をつけました。」

倉田の目からは大粒の涙が溢れ出した。
ああ!幸せに!幸せになれた!家族になれたんだ!!!!あの子!幸せになれたんだ!
お礼を言いたくても、喉が詰まって声が出にくい。
「ありがとうございます。本当に、ありがとうございます。あの仔犬、覚えています。そして、母犬の事も」
と、何とか言葉に出来た。

老人は倉田の涙に少し驚きながらも続けた
「このセンターには、怪我で収容された飼い主の居ない動物や、沢山の元人間の家族として過ごしていたペット達が沢山運ばれて来るそうですね。動物は純真な心で生きている。澄んだ瞳を持っている。悪いことなんて、な~んにも考えちゃ居ない。それなのに、何故不要として処分されてしまうのか?愛くるしい動物の命を何故奪わなければならないのか? 辛いでしょう?」


倉田は、老人の言葉に、更に涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら老人の隣に屈み
「実は、自分にはこの仕事は向いていない、辞めようかと悩んでいました」と心情を吐露した。

老人は、心情を察するかのように、再び優しい笑顔を向け
あなたも随分辛い思いをしている。でもね、あなた達のような心のある人達が、この仕事をしないと、動物達も浮かばれないんじゃ有りませんか?無関心に機械的に処分されてしまう命では浮かばれない。無用な命として殺されてしまうのではなく、せめて心ある人間に、その子たちが生きてきた事を忘れず、居なくなることに涙し悲しみ、消されていく命の重みを感じ、来世は幸せになって欲しいと願われなければ、死ななければならなかった子達が可愛そうすぎるんじゃないかな?そうすれば、この仕事だって、やがては不要となる時が来るのではないでしょうか? いや、すみません。偉そうな事を言ってしまいました

そう言うと、老人は優しい笑顔を見せながらゆっくりと立ち上がり、動物の慰霊碑と倉田に深く一礼し、センターの建物に向かって再度一礼をすると、ゆっくりとセンターの門を出て行った。

倉田は、帰って行く老人の背中が小さくなるまで、ずっと見つめていた。
そして、深く深呼吸をすると日課になっている、「動物達が普通に生きられる世の中になりますように」と空に向かって手を合わせ、センターの門を出た。

「仕事をやめるもんか。絶対に最後まで諦めない。この仕事が不要になるまで」そう心に誓いながら顔を上げた。


終わり

ねこけん里親会
詳しくは↓
http://nekokennerima.web.fc2.com/nekoken-home/yotuyanewpage1.html

日時 2013年 3月24日(日) 午後1時~午後5時

場所 東京都板橋区志村1-32-25

交通 都営三田線 志村坂上駅下車 徒歩約5分
スーパーサントクの前( コインパーキングあり)

他にも家族を待っている猫さん達が沢山参加します♪

※里親さんへのお願い
下記URLより、条件・契約書をご確認ください。
①終生飼育 ②完全室内飼養 ③不妊・去勢手術 ④医療費の負担 などの条件や、里親さんになっていただく手順などを記載しています。
http://ameblo.jp/naoofjapan/theme-10043762276.html


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