【玉ノ井親方 視点】

最速V狙う熱海富士が
審判部を考えさせた!?
霧島との優勝争いへ
「怖い存在」


 
押し出しで高安(左)を破る熱海富士

◇大相撲九州場所13日目

 ●高安
(押し出し)
熱海富士

 ●大栄翔
(はたき込み)
霧島○
 

 2023年11月24日 
福岡国際センター



 なかなか珍しいことだ。あす14日目の取組が13日目の打ち出し後に決まった。霧島以外の大関2人が優勝争いから大きく後退したため、残り2日の大関戦の割りを崩さなければならなったのが原因だが、それだけ熱海富士の存在が大きくなったということだろう。
霧島と2人で後続に2差をつけた。高安戦は馬力のある相手の立ち合いの当たりにも負けていなかった。押される場面はあったものの、前傾姿勢を崩さずよく残した。そこから体を入れ替え、そのまま押し出した。内容のある相撲だった。
一方の霧島は終盤戦に入って相撲がどんどん良くなっている。大栄翔の突きを、うまく下からあてがいながら威力を半減させて応戦。相手が手だけで押そうとしてバランスを崩したところをはたき込んだ。
9日目の朝乃山戦で引いて危ない目に遭ったので、10日目からは自分の相撲を見直したのだろう。そこから前に出る相撲に徹して、流れが良くなった。
優勝争いは2人に絞られてきたが、熱海富士は力をつけてきている。あす14日目は2人の直接対決。好調な大関にとっても熱海富士は怖い存在だ。 

(元大関・栃東